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建具 ― 快適なドアを選ぶ ―

こんにちは、広報担当の大坪です。
先日、宅配荷物を受け取り抱きかかえて室内ドアを通り過ぎようとしたとき、荷物を抱いている拳を思い切り建具枠にぶつけてしまいました。自分の体のサイズを○十年生きていてまだ把握できていないようで。。。恥ずかしい限りです。
自宅は賃貸なので標準的な寸法の建具なのですが、その時は痛みに悶えるあまり「もう少し幅のある建具を標準にしてほしいもんだ!」など一人でプンスカしておりました。

建具の標準寸法とは?建具の寸法って選べるの?
今回は家を建てる時意外と困ってしまうポイント「建具」について、寸法のお話、建具の機能性などをテーマにしたいと思います。

建具の種類

開き戸

玄関や室内のドアを思い返してみてください。どんなドアが思いつきますか?
一般的によくあるのは「開き戸」ではないでしょうか。押すか引く事で開くタイプです。

このタイプは、
① 気密性が高い(音が漏れにくい、空気が逃げにくい、等)
② 扉を収める場所が不要の為、少ないスペースに設置可能
③ 扉を収める場所が不要の為、スイッチやコンセントを設置可能な壁が増える

といったメリットがありますが、対してデメリットとして
① 扉開閉の可動スペースに物を置いたり、コンセント設置などができない
② 開閉の為に体の動きが大きくなるため、高齢者や体が不自由な方にとって扱いにくい

などがあります。賃貸住宅で開き戸が多いのは、限られたスペースを使って効率的な間取りにするためです。注文住宅を建てる際には扉が開く向きとスイッチ等の位置など、動線をよく考慮する必要があります。

引き戸

このタイプは近年人気が高く、リビングと居室をつないだり間仕切ったりできる“可動間仕切り”として使われているのをよく目にするのではないでしょうか。

*メリット*
① 開け放していても“バタン‼”と閉まってしまうことがない
② 開閉時の可動スペースが無く部屋を広く使える
③ スライドするだけなので、高齢者や体が不自由な方にも扱いやすい
*デメリット*
① 開き戸に比べて気密性は低く、音漏れや空気移動がしやすい
② 引いた戸を収めるスペースが必要
③ 戸を収めるスペースにはスイッチやコンセントを設置できない


昨今の在宅ワークや宅配利用の多さを考えると、家の中で物を運んだり移動したりする機会が多く、引き戸の方が何かと利便性は高く感じますね。

引き込み戸

スライド式なのは引き戸と同じですが、こちらは戸を全て壁の中に収納できるタイプ。戸が視界に入らないためすっきり見え人気ですが、その分間口両側の広さと梁・壁の厚みが必要です。壁の外に収納スペースを作る“アウトセット”と言う方法もあります。

画像:引き込み戸
出展:SUVACO/https://suvaco.jp/room/7qeSceRcvu
こちらの引き込み戸は、左右両側が引き込みになっていますね。

引き戸・引き込み戸は開き戸に比べて間口が広い事がほとんどのため、設計によりますが開口部の強度を検討しなければならず、開き戸を設置するよりコストが上がる可能性があります。

建具の寸法

私のように腕や足を頻繁にぶつける人はそういないとは思いますが、、、急いでいたり荷物を持っていたりなどで建具の幅がもっとあれば良いのに…と思うシーンは意外とあるのではないでしょうか?

昔に比べて平均身長も高くなった現代では、やはり「高くて広い」間口が人気なようです。ただ、やみくもに大開口にすれば良いと言うものでもありません。構造計算が余計に必要になったり、全体のデザイン感に対して不自然なサイズのバランスが悪い家になってしまったり、良くない事も起こりかねません。
それでは、寸法は何を持って判断すればよいのでしょうか。

高さ

近年では、高さのある建具が主流になっています。現代の一般的な賃貸マンションの天井高は2.4~2.5mが主流(建築基準法では居室の天井は2.1m以上と決められています)で、建具は1.9~2m(建具外寸)で統一されています。
鴨居がある日本間の襖は180cmが普通ですが、現代人は昔より身長がありますので洋間が主流の現代では2mで統一されるようになったのです。

賃貸では難しいですが、新築やリフォーム・リノベーションの場合は建具もある程度選べます。

開放感を求めるならば、後述のハイドア(天井いっぱいの高さ)などはとてもお勧めです。設計士に前もって伝えておくと良いでしょう。

横幅

大抵の場合、住宅の中でトイレの扉が一番幅が狭いですが、例を挙げると建材・住宅設備大手のLIXIL標準規格が64.8cmです。有効寸法(実際に通れる限界寸法)は59cmくらいになるので、肩幅が40~45cm前後の男性ならば真ん中を通っても両側7~9cm程度しか隙間がありません。そりゃ肩や手、ぶつけるわけよ…
これは、木造住宅で主流の「木造軸組工法(在来工法)」の柱間(モジュール、柱芯から柱芯まで)が910cm(約3尺)な事も関係していると言えます。この910cmのモジュールを尺モジュールと呼びます。

ですが昔より体が大きい現代人としては、全ての建具が64cmだと狭苦しくて住みづらいですよね。
と言うわけで、現在では尺モジュールではなくメーターモジュール(モジュールが1000cm)で設計するなどし、建具幅を広めのものにすることが増えています。
しかしそうすると、日本では尺モジュールに合わせた建材が多いため建築費が上がってしまうデメリットもあります。

こちらも、構造上無理のない範囲で幅を確保できるよう、設計士へよく伝えておくことが重要です。

重要なのは、生活上必要な物の寸法と建具寸法のバランスです。例えば極端な話、グランドピアノがあるのに建具幅が足りなければ、室内に運び込むことができません。また近年問題となりやすいのが車いすです。電動車いすなど特に幅のある車いすが、リフォーム・リノベーションしても通ることができない、どこかしらを壁に擦ってしまう、などの体験をする方も多いです。
お持ちの家具など、設計の段階で寸法のすり合わせをしっかりと行う事が重要ですね。

建具の様々な機能・デザイン

近年の建具は、機能性・デザインの多様さなどの面から様々な物が開発されています。今回は私の独断で、自分が家を建てるなら欲しい!と思っている建具をご紹介します。

2方枠のハイドア

フルオーダーのオリジナル建具を作らない限り、メーカー建具には基本的に枠があります。この枠が上下左右すべてにあるのが「四方枠」、床部分の枠がないバリアフリー仕様が「三方枠」です。
ところが近年は意匠上の美しさやデザイン性を重視し、上下の枠がない「二方枠」を天井いっぱいの高さに施工する“ハイドア”が増えています。(枠を残したハイドアもあります。)

開け放した時に開放感があり、スタイリッシュな空間に仕上がります。扉自体はシンプルなデザインがカッコいいですね。

採風窓付き建具

掃除の時や料理でちょっと煙が多く出たときなど、換気扇だけでは換気が間に合わない事がありますよね。他には冷房や送風より自然の風が少し欲しい気候、とか。

私が家を建てるなら(笑)、絶対欲しいのは採風窓付の玄関のドアです。
・虫が入るから玄関を開け放ちたくはない、でも換気はしたい!
・内扉として網戸を付けるのも良いけど、全面網戸だと中が丸見え。。。
こんなフラストレーションとおさらばできるのが、「採風窓付玄関ドア」なのです!

防犯性は損なわず、風のみを取り入れる。何とも最高な玄関ドアです。

レールが見えないアウトセット引き戸

ハイドアのスタイリッシュさ・開放感とはまた一味違う、完全に意匠重視の憧れですが・・・
レールが見えないアウトセット、これはときめきます!
扉が、浮いてるのか…?張り付いてる?あ、扉じゃなくてオブジェなのかな?
なんて考えてしまいそうな、憧れの建具です。オーダー扉にはなってしまうけれども、この意匠性ならば納得ですよね!

画像:アウトセット引き戸
出展:ハーフェレジャパン オンラインカタログ
https://www.hafele.co.jp/hap-live/web/WFS/Haefele-HJA-Site/ja_JP/-/JPY/Static-View/pdfcatalog/ja_JP/catalogs/index.php?catalog=Architectural_Hardware2020&startpage=0.1

― 最後に ―

めくるめく建具の世界、いかがでしたか?
レールの見えないおしゃれなアウトセット引き戸を全て開け放ち、テラス戸は網戸に。最後に玄関の採風窓を開け放てば…家中に心地よい風が―――などと妄想しながら、ありもしない自宅への思いを馳せてしまいました。。。

建具は、機能性はもちろん、デザイン、意匠性も様々なタイプ・バリエーションがあります。ぜひ色々、お好みの建具を探してみてくださいね!

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