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― 欄間 ― 機能性と美観

こんにちは!広報担当の大坪です。
本日は日本建築の美であり伝統工芸品でもある「欄間」について取り上げたいと思います。

最近のブログで日本建築についていろいろと取り上げてきた中で、今年の正月に二条城・香雲亭での早春ランチへいった際、襖を開け放した空間に欄間がとても映えていて和室の美しさに見ほれたことを思い出しました。

目的や種類、近年ではインテリアや和モダンのアクセントとして再注目されている「欄間」の魅力をお伝えできればと思います。

欄間とは

欄間は日本の伝統的な建築様式のひとつです。天井と鴨居(かもい)または長押(なげし)との間に、通風や採光のために設けられる部分の部材を指します。

※鴨居:障子やふすまなどをはめ込むための溝付きの横木。
※長押:柱と柱の間に渡した横木。元々は柱を挟んで連結する構造材だったが現在は装飾・化粧材として活用される。

天井から長押や鴨居までを壁で塞ぐと、採光や風通しが悪くなります。そこで欄間が用いられるようになり、次第に趣向を凝らした美しい欄間が制作されるようになりました。

欄間の成り立ちと進化

欄間の始まりは奈良時代の寺社建築と言われ、平安時代には貴族の住居、江戸時代になって庶民の住宅に取り入れられるようになったと言われています。
始めはシンプルな格子から、だんだんと複雑かつ立体的・彩色された欄間などもつくられるようになりました。

欄間は採光と通風が目的ですから、その役割を成せればどんな意匠でも自由と言えます。現代では装飾的意味が大きいイメージですね。洋風建築が主流になり需要も減っていましたが、新築の和風インテリアや古民家リノベーションなどで「和モダン」アイテムとして魅力が再認識されてきています。

そんな欄間も、今では富山県の「井波(いなみ)欄間(井波彫刻)」「大阪欄間」の2大生産地が、通商産業大臣(1975年)より伝統的工芸品として指定されています。

井波彫刻 /繊細な手仕事と大胆な表現の見事な融合
引用:井波彫刻協同組合様WEBサイト https://inamichoukoku.jp/about/

欄間の種類

ここからは欄間の種類を大まかにご紹介いたします。

設ける場所による種類

欄間は、部屋と部屋の間の換気用[A]と、縁側と部屋の間の採光用[B]の2種類があります。Aを「間越し欄間」、Bを「明かり(取り)欄間」と言います。
また、床の間横に設けるのは「書院欄間」と言います。

画像左:岐阜岩村城下町 木村家 /間越し欄間
画像中:京都 天龍寺 /明かり欄間
画像右:書院欄間

形状・造りの違いによる種類

欄間の見た目の美しさは、機能性を上回る特徴かもしれません。近年欄間が注目されている主な理由は、この意匠性によるものでしょう。それでは解説いたします。


◇筬(おさ)欄間
緻密に並んだ細木が繊細で上品な印象の欄間です。
筬(おさ)とは、機織りに使う竹や金属でできた櫛状の道具で、杉や桐などの木材を縦に組んで筬のように仕立てます。

画像:二条城 香雲亭 /筬(おさ)欄間
通常非公開。どなたかの結婚式だか、撮影での来日でだか、何か忘れましたがとにかくトム・クルーズ氏がこの部屋に入ったとか。

◇彫刻欄間/透かし彫り欄間
彫刻欄間は厚みのある板をくり抜いて制作する欄間です。立体感が生き生きとした様をよく表現しています。

図柄をくり抜き向こう側が透かして見えるよう彫る技法“透かし彫り”で制作した欄間を「透かし彫り欄間」と言います。

画像左:彫刻欄間
画像右:透かし彫り欄間



武家屋敷などで国宝や重要文化財級の建築には、ほとんどの部屋に格式や用途による様々な欄間が設けられていますが、主人の公式対面の部屋は大抵、見事な浮き彫り&豪華な透かし彫り欄間が用いられており、極彩色を施されていることも珍しくありません。
前回ブログの天井の回で言えば、“二重折上げ小組格天井”クラスの欄間と言うところでしょうか。

画像左:武志伊八郎信由「波に宝珠」
引用:行元寺WEBサイト http://www.gyoganji.or.jp/
千葉県いすみ市にある東頭山・行元寺には、初代「波の伊八」と呼ばれた彫刻師・武志伊八郎信由(たけしいはちろうのぶよし)制作の欄間があります。あの葛飾北斎の代表作「神奈川沖浪裏」は伊八の彫刻に影響を受けたと言われています。

画像右:二条城二の丸御殿 大広間三の間 欄間
引用:元離宮二条城公式WEBサイト https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/introduction/highlights/ninomaru/
厚さ35センチの檜の板を両面から透かし彫りした欄間の彫刻

◇組子(くみこ)欄間
組子とは、釘などを一切使わず木に穴や溝などを加工し、細い木を組んで精巧な模様に仕立てる伝統の技で、その組子によって制作された欄間です。組子には様々な模様があり、光を受けると室内に美しい影を落とすのが魅力です。

画像:組子欄間
引用:株式会社タニハタ様公式WEBサイト https://www.tanihata.co.jp/weblog/2015/07/1556/

◇障子欄間
その名の通り、欄間の枠に障子を張ったものです。障子を通して光を優しく取り込んだり、開閉ができ通風を調整できるものもあります。
障子ではなく布生地やガラスを張るなどの応用ができます。ガラス障子は大正ロマンや昭和初期風の建築に多く使われており、ステンドグラスを使ったり模様を刻み込むなど、様々な表現ができます。

画像左:障子欄間
画像右:ステンドグラス欄間




◇壁抜き欄間
壁をくりぬき左官で仕上げた欄間です。竹や木材を組み込んで装飾を施すことができます。

画像:壁抜き欄間




◇埋込欄間(象嵌(ぞうがん)彫刻)
本体の板に色調や質感が異なる木材で仕立てた彫刻などを埋め込む技法のものです。彩色するのとはまた違う絵柄の表現が見られ、精巧な技術に惚れ惚れする欄間です。
ちなみに象嵌(ぞうがん)は、木を埋め込む木工象嵌、金属を埋め込む 金工象嵌、粘土と釉薬で造る陶象嵌などがあります。

画像左:木象嵌

画像右:陶象嵌
引用:ギャラリージャパン公式WEBサイト
https://galleryjapan.com/locale/ja_JP/technique/ceramics/10105/

最後に

いかがでしょうか、欄間の魅了は伝わりましたか?
和室を設けない人が増える中、欄間制作の技術は伝統工芸となり、あり方が変わりつつありますね。

しかし欄間の魅力が分かれば、ただのインテリアとして壁に飾るのではなくその機能性も生かすべきものだと気づくことができると思います。工芸品として考えればインテリアもひとつの在り方ですが、本来の欄間ではありませんよね。

洋風建築でも欄間は充分に生かすことができ、むしろ日本だからこそ可能な独自の和洋折衷デザインと言えます。リノベーションや新築の際には是非とも、欄間を採り入れてみてくださいね。

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