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二人で料理すると、なぜか邪魔になる。

「ちょっとどいて」を減らすキッチン。

一緒に夕食をつくりたいのに、キッチンに二人立つと「ちょっとどいて」が増えてしまう。野菜を切っている後ろで冷蔵庫が開き、皿を取りたい人がコンロの前を横切る。手伝ってほしい気持ちはあるのに、場所の取り合いになると、結局一人でやったほうが早いと感じてしまいます。

LIQは、二人で使うキッチンを、通路を広げるだけで考えたくありません。誰が何をして、そのためにどこへ手を伸ばすのか。切る場所、料理を盛る場所、食器を出す場所を分けると、必要な広さと収納の位置が見えてきます。二人がいつも同じ方向を向いて並ぶことだけが、一緒に料理をする形ではないと思うのです。

二人で料理する。その中身を一度分けてみる

例えば、平日の夕食に野菜炒めとサラダをつくる場面を考えます。一人がコンロを使い、もう一人が洗った野菜を切るなら、加熱と下ごしらえを同時にできる場所が必要です。もう一人の役割が皿を出して食卓へ運ぶことなら、優先したいのは二枚目のまな板より、食器と配膳の近さです。

二人とも料理をするつもりでも、毎日同じ分担とは限りません。平日は一人、休日は二人。料理の途中から片付けを始める人もいる。その違いを「夫婦で使います」という一言にまとめず、よくある夕食を一回分、順番に話してみてください。

私たちが先に知りたいのは、キッチンに入る人数より、同じ時刻に重なる作業です。二人が同時にシンクを使いたいなら、通路だけ広げても順番待ちは残ります。一方が野菜を洗い終えたら別の台で切り、もう一方が鍋を洗う。そんな受け渡しができる配置かを見ると、設備を増やす前にも選べることがあります。

広い通路でも、開いた扉には場所が要る

二人で使う案では、キッチンと背面収納の間に約120cmの通路を取ることを、検討の出発点にできます。ただし、これは目安であり、どの家でも二人が快適に動ける保証ではありません。通路は人だけでなく、引き出しや食洗機の扉も使う場所だからです。

下のイメージでは、前へ倒すタイプの食洗機を開いています。閉じたときには床だった部分へ扉とカゴが出てきます。さらに、食器を入れる人が立つ場所も必要です。写真で奥へ床が続いて見えても、人が作業しながら通れる寸法まで、この画像で確認できるわけではありません。

図面で確かめるときは、収納の前面から反対側の前面までを測るだけで終わらせず、採用する機器の開き方を重ねます。食洗機を開いた人の背中側を通るのか、いったん別の側へ回るのか。向かいの引き出しも同時に使うなら、扉同士と身体の場所を合わせて見ます。

反対に、広ければ広いほど便利とも限りません。一人で料理する日に、振り返るたび何歩も移動する配置では負担が増えます。LIQは、一人の日の取りやすさと、二人の日に譲り合う場所を両方試して決めたいと考えています。床面積を増やす前に、収納の中身や開く位置を変える案も比べます。

二人目のまな板を置く場所はありますか

通路ではすれ違えるのに、作業台では肩がぶつかる。そんな場合に欲しいのは、通る幅とは別の、道具を置いて使える面です。シンクとコンロの間に一枚のまな板しか置けないなら、二人目は空いた端へ追いやられます。ボウルや切った食材の置き場所まで含めて、作業する面を割り振ります。

例えば、一人はシンクの近くで下ごしらえし、もう一人は端の空いた面で皿へ盛る。二人とも切るなら、洗った食材を受け取れる別の作業面を用意する。背面カウンターを使う案もありますが、そこが炊飯器や電子レンジで埋まる予定なら、二人目のための場所として数えないほうが現実的です。

空いている面でも、高さや手の届き方が合わなければ、長く使う場所には向きません。よく使うまな板とボウルの大きさを控え、二人でそれぞれ立ってみます。片方が鍋を置くために、もう片方の材料を毎回どかす形なら、作業を分けたつもりでも同じ場所を取り合っています。

皿を出す人は、コンロの後ろまで来なくていい

二人目が主に配膳をするなら、食器をどこから取り出せるかを変えてみます。よく使う皿やコップが、料理中の人のすぐ後ろにあると、食事の準備を手伝うたびにキッチンの奥へ入ることになります。食卓側から使える収納へ一部を移す案なら、その往復を減らせます。

次のイメージは、ダイニング側へ開く引き出しに普段の器を収めた案です。料理をする側と反対側から皿を取り、天板に並べて食卓へ運べるように考えています。全部の食器を移す必要はありません。毎日の皿とコップだけでも、誰がどちら側から使うかを決める意味があります。

ただし、取り出しやすさの代わりに、片付けのときはキッチン側から回って戻す手間が生まれます。食洗機からすぐしまいたい人には、内側の収納を優先する選択も合います。私たちは、配膳も片付けも全員が同じ場所を通る形より、その家でよく重なる時間を楽にする位置を探したいと考えています。

飲み物を取りに来る家族の動きも忘れずに。冷蔵庫をキッチンの入口寄りに置く案なら、コンロの後ろを通らずに済むことがあります。ただ、扉を開いたときに入口を塞がないか、料理する人には遠くなりすぎないかを確かめます。見た目を隠すためだけに奥へ押し込むことは勧めません。

アイランドが合うのは、回る理由がある家

両端から出入りできるアイランドは、誰かが片側で作業していても、反対へ回れることが魅力です。二人で料理する家には候補になります。ただし、両側へ通路を設ける分、必要な場所も増えます。アイランドを入れるために食卓の椅子を引けなくなるなら、暮らし全体では窮屈になります。

片側を壁につけるキッチンでも、入口に近いところへ配膳面を設け、もう一人が奥へ入らず参加する形は考えられます。両方から出入りすることが目的ではなく、今困っている移動を減らせることが大切です。形の名前だけで、二人向きか一人向きかを決めないようにします。

平日は一人で手早く料理し、週末だけ二人でゆっくりつくる家なら、毎日の動きを小さくまとめ、週末に使う面を確保する選択もあります。いつも二人が料理の中心に立つ家とは、必要な配置が違ってよい。憧れの写真と同じ形にすることより、その家族の使い方が自然に続くことを優先したいのです。

ホテルライクなキッチンは、作業中の景色から考える

ホテルライクなキッチンを目指すと、何も置いていない完成写真に惹かれます。でも、二人で料理する時間には、まな板も皿も必要です。作業のたびに邪魔になる花器や飾りを並べるより、手を動かせる面そのものをきれいに見せる。LIQは、そのほうが暮らしと意匠を両立しやすいと考えています。

今回の黒いイメージでは、石の大きな面と、線をそろえた収納を主役にしています。背面の石壁や天井へ光を広げ、昼は庭から自然光を入れる。食卓側の収納も同じ黒い面へ収めれば、扉を閉じたあとは落ち着いた景色に戻せます。装飾で埋めず、料理を置く余白を残す考え方です。

ただ、暗い雰囲気を優先して、切る手元まで見えにくくしてはいけません。壁を美しく照らす光と、料理する面の見やすさは両方必要です。立つと手元に自分の影が落ちないかも含め、照明を確かめます。素材や光を選ぶときも、二人が実際に立つ場所を基準にします。

二人で試すのは、いつもの夕食一回分

ショールームや打ち合わせでは、キッチンの前で並んで写真を撮るだけでなく、夕食の準備を短く再現してみてください。一人が切り、もう一人が冷蔵庫へ行く。皿を出し、盛り付け、片付ける。扉は係の人へ確認して開け、途中でどちらかが待つ場所を見つけます。

そのとき「広くしてほしい」だけでなく、「この引き出しを開けるたびに、もう一人が動く」と伝えると、変える場所が具体的になります。食卓側の収納なら、椅子を引いた状態でも開けて立てるかまで。通路の寸法と、使い始めてから必要になる場所を一緒に確かめます。

京都でホテルライクな注文住宅を考えるなら、二人で料理したくなる理由を、美しい天板だけに任せたくありません。手伝いに来た人が、自分のすることをその場所で始められる。そんなキッチンなら、料理の時間も家族で過ごす時間の一部にできます。好きな写真と、今よくぶつかる場面を一緒に持ってきてください。

二人でつくる夕食から、キッチンの配置を一緒に。

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