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玄関に、段ボールを置きっぱなしにしたくない。

玄関の段ボールは、収納を増やすだけでは片づかない。

届いた荷物を玄関に置いて、ひとまず夕飯をつくる。中身は使い始めたのに、空の箱は週末までそのまま。せっかく石や照明を選んだ玄関が、いつの間にか荷物の待合室になっている。そんな暮らしを、新しい家でも続けたくはありません。

私たちLIQは、段ボールのために大きな収納室をつくる前に、「受け取る、開ける、中身を運ぶ、空箱を出す」が途中で止まらない場所を考えたいと思っています。ホテルライクな玄関にも、暮らしの裏方は必要です。荷物をなくすのではなく、玄関の床に置いたままにしなくて済む仕組みをつくります。

片づかないのは、中身と空箱の行き先が違うから

例えば、日用品の入った箱が届いたとします。洗剤は洗面の収納へ、食品はキッチンへ、箱は資源回収まで保管する場所へ。届いたときは一つだった荷物が、開けたあとには別々の行き先を持ちます。

この行き先を決めずに、玄関の収納だけを広げても、未開封の箱と空箱が混ざるだけかもしれません。奥に押し込めば入口はきれいになりますが、何が残っているのかは分かりにくくなります。私たちは、収納量よりも「ここにある箱は何を待っているのか」が分かることを優先します。

まずは今の家で、箱が止まっている理由を見てみてください。開ける道具が遠いのか、中身をしまう棚がいっぱいなのか、畳んだ箱の行き先がないのか。困っている場所が違えば、必要なのは作業台かもしれませんし、日用品の棚の見直しかもしれません。玄関を広げることが、いつも最初の答えになるとは考えていません。

荷物を開ける台は、通り道の脇に

日常の小さな荷物を玄関付近で開けるなら、通り道の脇に短いカウンターを設ける方法があります。箱を置いたまま、靴を脱ぐ人や帰宅した家族が通れる位置です。玄関の中央や上がり框を、毎回ふさぐ使い方にはしたくありません。

ここで大切なのは、台の幅だけではありません。箱のふたを開き、中身をいったん横に置く奥行きがあるか。手前に立っても扉の開閉を邪魔しないか。よく届く箱を実際に置くつもりで決めます。重い荷物まで無理に持ち上げる場所にはせず、床で扱う必要があるなら、短時間置ける脇のスペースも分けて考えます。

カウンターは、鍵や郵便物や飾りを並べたくなる場所でもあります。ただ、荷物を開けるたびに別のものをどかすなら、その台は使わなくなるかもしれません。飾る場所と作業する場所を兼ねるときも、箱一つを受け止める面は残したい。見栄えのために台をつくってから、用途を押し込む順番にはしないことです。

空箱の収納は、畳んだあとの大きさで決める

箱を開けたら、中身よりも空箱のほうが場所を取ってしまうことがあります。私たちなら、段ボールを箱の形で積む棚より、畳んだ状態で立てられる区画をまず検討します。棚を細かく区切るより、高さのある一つの区画のほうが合う箱もあります。

上の画像では、開封する天板の下に、畳んだ段ボールを立てる場所を設けています。開けた場所のすぐ下へ戻せる関係が、この案の狙いです。一方で、すべての家でこの寸法や位置が合うわけではありません。普段買うものの外箱と、回収までにたまる量を見て、収まる大きさを決めます。

緩衝材やビニールも同じ場所へ押し込むと、捨てる日にまた分ける作業が残ります。紙とそれ以外を分けて置けるようにし、出し方は住む地域や回収先のルールに合わせます。収納に入りきらなくなったときのためにさらに大きな収納を足すより、どの回収機会に持ち出すかまで決めるほうが、玄関を使いやすく保ちやすいと考えます。

届いた商品をまだ確かめていない箱まで、すぐ畳む必要はありません。返品や交換に備えて梱包を残すなら、処分する空箱とは置く場所を分けます。「念のため」で全部残すのではなく、何を確認したら片づけるかを家族で共有する。その区別があれば、片づける人が毎回ほかの人へ聞き回らずに済みます。

宅配ボックスは、家の中の片づけを代わってくれない

不在時や手を離せないときの受け取りには、宅配ボックスも選択肢になります。ただし、入る荷物の大きさや重さ、配送サービスの条件があり、すべてを受け取れるわけではありません。いつも注文する荷物と、使う配送方法に合うかを選ぶ前に確かめます。

私たちが配置で優先したいのは、配達する人が見つけられ、家族が取り出しやすいことです。外観に隠すことばかりを考えて、施錠した門の奥や、入口の分かりにくい場所に追いやりたくありません。雨の当たり方や設置条件は製品ごとに確認し、扉を開いたときの場所まで図面に描きます。

下の画像は、玄関へ向かう経路の脇に受け取り場所を設けた案です。玄関扉とボックスの前を、それぞれ使えるように残しています。そして、取り出した箱を家の中のどこへ運ぶかまでが一続きです。外で受け取れるようになっても、そのまま上がり框に置くなら、玄関の段ボール問題は残ります。

ホテルライクな玄関は、正面と横で役割を分ける

玄関を開けた正面には、光を受ける石の壁や、小さな庭を見せたい。その思いと、荷物を置く場所は両立させたいと考えます。正面を飾る面、横へ向いた先を作業する面と分けると、収納をすべて奥へ追いやらずに、最初に目に入る景色を整えられます。

白い玄関なら、収納の扉も壁に近い白でそろえ、天板の石の表情を一か所に絞る。黒い玄関なら、黒い石と扉の艶を少し変え、照明で壁の面をやわらかく見せる。色を増やして箱を目立たなくするより、箱を置く面そのものを正面から外すほうを、私たちは先に考えます。

ただし、ホテルライクに見せるために、開封する手元まで暗くする必要はありません。くつろいだ印象をつくる光と、作業する面を見やすくする光は、役割を分けます。きれいに閉じた扉だけでなく、使っている途中も無理がないことが、住宅の上質さだと思います。

専用の部屋をつくらない選択もある

荷物の数が少ない家なら、玄関に新しい部屋を足すほどではないかもしれません。既存の靴収納の一部を荷物用に空ける、玄関に近い収納の下段を空箱用に使う。通路を狭くしない範囲で、今ある面積の役割を変えるだけでも検討できます。

逆に、まとめ買いをする家では、小さな見せ場だけを残して収納を削りすぎないほうがよいでしょう。飲料の箱を高い棚へ持ち上げる、台車が段差の手前で止まる。そんな負担があれば、玄関の見た目より先に運び方を見直したいところです。重いものの置き場は、日々運ぶ人と一緒に決めます。

二階にキッチンがあるなら、食品を玄関で全部取り出すことが合わない場合もあります。運ぶ途中で細かくばらけないよう箱のまま上へ持っていき、空箱だけを帰宅や外出の動きに合わせて戻す。その家で続けられる手順を優先します。どんな荷物も玄関で完結させることが、この記事の答えではありません。

片づける人の気合いを、設計の前提にしない

帰宅後すぐにすべての荷物を開けられる日ばかりではありません。だからこそ、未開封の箱を一時的に置く面と、畳んだ空箱の場所は分けておきたい。後で作業する人にも、どこまで終わっているかが分かります。開封道具も使う場所の近くへ収め、刃物は子どもが触れない管理を前提にします。

図面を見るときは、次の荷物が届いた場面を一度たどってみてください。どこに立って受け取り、どこで開け、何を運び、残った箱をどこへ置くのか。途中で「とりあえず床」が何度も出てくるなら、収納の面積より先に直したい場所が見えてきます。

私たちがつくりたいのは、いつも片づけを頑張らないと保てないホテルライクな家ではありません。忙しい日にも戻し先が分かり、玄関を通るたびに荷物を避けずに済む家です。京都で注文住宅を考えるときも、見せたい玄関の写真と一緒に、今どこへ箱を置いているかを教えてください。日常の小さな行き止まりから、間取りを考えます。

玄関の見せ方と、毎日の荷物の動きを一緒に考えませんか。

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