家で働く場所には、仕事を終える仕組みも。
ソファに座っても、目に入るのは明日の資料と黒いモニター。仕事は終えたはずなのに、リビングの一角だけが勤務中のままになっている。そんな景色が気になるなら、机を置く場所と一緒に、仕事を終えたあとの姿まで考えたいと思います。
LIQが大切にしたいのは、働きやすさと、くつろぐ時間の両方です。毎晩きれいに片づける努力だけに頼らず、仕事の道具を使いやすく置けて、必要なときには視界から外せること。ホテルライクな住まいに在宅ワークを取り入れるなら、この切り替えを間取りの中につくることを勧めます。
片づける回数から、机の置き方を決める
たまにノートパソコンを開く程度なら、ダイニングテーブルを兼用するのも自然な選択です。専用の部屋を増やす前に、パソコンと充電器が一緒に戻せる収納を近くへ設ける。それで食事の前に無理なくテーブルが空くなら、暮らしに合った使い方だと思います。
ただ、毎日モニターとキーボードを使い、紙の資料も広げる人には、兼用を安易に勧めません。夕食のたびに道具を運び、翌朝また並べ直す。専用の机を設けずにすんだ分、片づける作業を毎日の自分が引き受けることになるからです。
私たちなら、まず仕事が終わった時点で机に残る物を聞きます。パソコン一台なのか、書きかけの図面や複数の資料まであるのか。道具をまとめて戻せる人には兼用、作業の続きを残したい人には専用の場所。この違いを整理すると、「書斎は何畳必要か」より前に、家に合う答えが見えてきます。
もう一つ、同じ机を誰が使うかも大切です。自分が仕事を終えた直後に子どもが宿題を始めるなら、作業を残せることが家族には不便になる場合があります。共用する机は空けやすく、専用の机は続きに戻りやすく。同じ「机」でも、優先することを分けておきます。
書類を残しても、くつろぐ景色は整えたい
専用の個室までは要らない。でも、ソファから仕事の道具が見え続けるのは気になる。その間にある選択肢が、リビングの壁面に机を組み込み、使わないときに扉で隠せる仕事コーナーです。扉を開ければ作業の続きに戻れ、閉めれば収納のある壁として見えるように考えます。
ここで残したいのは、再開に必要な配置です。モニターをその都度外したり、書類を別の部屋へ運んだりしなくても、仕事を終えられるようにする。ただし、大切な資料の管理は勤務先のルールに合わせる必要があります。扉で見えなくなることを、施錠や情報管理の代わりにはしません。
また、隠せる机ならどの家庭にも合うわけではありません。壁面に必要な奥行きが増え、扉の仕組みや納まりにも費用がかかります。見えていても気にならない人には、開いた机を丁寧につくる方が素直です。「見えなくすることに、どれだけ価値を感じるか」で選びたいと思います。
扉の開け方にも違いがあります。手前に開く扉は開いたときの居場所が必要で、左右へ引き込む扉は扉を収める部分が必要です。壁いっぱいの幅を、そのまま机の有効幅として使えるとは限りません。扉を開けた状態の形まで見て、道具が収まるか判断します。

扉だけでなく、椅子の帰る場所をつくる
閉じられる仕事コーナーで見落としたくないのが椅子です。机は隠れても、大きな仕事用の椅子が通路へ残ると、使っていない時間にも仕事コーナーの存在が強く出ます。収納の扉だけをきれいにつくっても、暮らしの中での片づけは完了しません。
椅子ごと内側に収めるなら、机の前に椅子が納まる奥行きと、閉める扉との位置関係が必要です。机の下へ押し込む案でも、肘掛けや背もたれ、脚の広がりまで含めて実物の寸法で考えます。座り心地を犠牲にして、小さな椅子へ替えることを前提にはしたくありません。
椅子を外に残す案なら、壁際に戻す場所を用意し、色や形をリビングの家具と調和させる方法もあります。どちらを選んでも、仕事中に椅子を引けること、後ろを家族が通る場所とぶつからないこと、扉を開けたままでも動けることが先です。閉じた写真より、実際に座って立つ動作から納まりを決めます。
通話のたびに家族が黙るなら、個室を考える
仕事道具の見え方よりも、オンライン会議のたびに家族が気を使うことに困っているなら、考えるべき答えは変わります。「少し静かにして」と繰り返す暮らしを、机の収納だけで解決することはできません。リビングは、働く人以外の家族も過ごす場所だからです。
通話や会議が多い人には、私たちは扉で区切れる個室を優先して検討します。廊下側から入れる位置なら、会議中の机の後ろを家族の通り道にせずにすみます。カメラに何が映るか、家族が出入りする場所はどこかも、机の向きを決める段階で一緒に描いておきます。
ただし、普通の室内扉を付けただけで会話が聞こえなくなるとは限りません。必要な静かさに応じて壁や建具、換気経路などを検討します。個室を設ける分、ほかの場所に使える面積は減ります。それでも、仕事中の人と家族がお互いに遠慮し続けるなら、分ける価値はあると考えます。

ホテルライクな壁に、仕事の道具を納める
リビングの中へ机をつくる場合、私たちは仕事コーナーだけを目立たせる装飾を増やしません。隣の収納と扉の高さや面をそろえ、閉じたときに大きな壁として落ち着くように考えます。白い空間なら白い扉をなじませ、石の模様や庭の緑など、くつろぐときに眺めたいものへ視線を戻します。
開いている時間もきれいに使うなら、机の上に道具を並べる余裕を取り、その近くに紙や小物の戻し先を設けます。奥の壁を照らすやわらかな光は、くぼんだ場所に奥行きを与えます。ただ、雰囲気をつくる光だけで作業の明るさまで足りると決めず、手元を照らす役割も分けて考えます。
ホテルライクを、家の中から仕事の存在を消すことだとは捉えていません。必要な機能をきちんと残し、見せる時間と見せない時間を選べること。閉じた壁の美しさと、開いて使うときの快適さが両立してこそ、暮らしに合うデザインになると思います。
しまいやすさのために、働きにくくしない
奥行きの浅い収納へ無理に机を納めると、画面と体の距離、手を置く場所、足元の余裕が足りなくなります。毎日使う仕事場なら、実際のモニター、キーボード、椅子を置いた状態から寸法を考えます。見た目をすっきりさせるために、窮屈な姿勢で働く計画にはしたくありません。
窓の近くも、明るいからという理由だけでは決めません。画面に窓が映り込まないか、座ったときにまぶしくないかを見て、机の向きや日射を調整する方法を考えます。机を壁へ寄せる配置でも、画面と入力する道具の位置は、使う人に合わせて調整できる余地を残します。
機器を囲う場合は、放熱や配線のための空間も必要です。稼働中のパソコンを狭い場所に密閉する使い方は前提にせず、機器の説明書に沿って設置条件と終了時の扱いを決めます。仕事を終えて扉を閉じるために、機器をどう止めるかまで含めておくと、見た目だけの収納になりません。
平日の夜を一度、図面の中で過ごしてみる
図面に机が描かれたら、仕事をしている姿だけでなく、終えたあとの順番も想像してみてください。機器を止める。書類を戻す。椅子を寄せる。必要なら扉を閉める。そして、ソファへ座る。そのとき何が見え、誰がその前を通るでしょうか。
たとえば、夕食を始めたい家族の横で毎晩道具を運ぶなら、専用の机を設ける理由があります。資料が見えることだけが気になるなら、閉じられるコーナーが候補になります。会議中の音や家族の動きまで分けたいなら、個室を検討する。困りごとを絞ると、必要以上に部屋や収納を増やさずに選べます。
LIQは、働きやすい家と同じくらい、仕事を終えたあとにくつろげる家を大切にしたいと考えています。京都でホテルライクな注文住宅を考えるときも、憧れの書斎の写真と一緒に、今の仕事道具や平日の過ごし方を教えてください。家族の時間へ戻れる場所を、一緒に考えていきます。
在宅ワークとくつろぐ時間が両立する住まいについて、ご相談ください。
家づくりの相談・お問い合わせ