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人は呼びたい。家中は、見せたくない。

人は呼びたい。家中は、見せたくない。

リビングは片づいている。でも、そこへ着くまでの生活は見せたくない。
玄関に置いた通勤バッグ、廊下から見える洗濯物、洗面台に並んだ家族の持ち物。「ちょっと寄っていい?」の一言で、ソファ以外の場所まで気になってしまう。そんな人に考えてほしいのが、お客さまをどこまで迎え入れるか、という間取りの決め方です。
人を呼ぶために、家全体をいつも整えておく。その頑張りを前提にする前に、玄関から座る場所、お手洗いまでをひと続きで考えてみます。見せたい場所へ気持ちよく案内し、家族が普段どおり過ごす場所も残す。今日は、その境界のつくり方を考えます。

まず決めるのは、誰を、どこまで招くか

荷物を受け取る人、玄関先で話す近所の人、ソファでお茶を飲む友人、泊まりに来る親。同じ「来客」でも、家の中で使う場所は違います。
例えば、よく呼びたいのが、お茶を飲んで帰る友人なら。玄関からリビングへ進み、途中でお手洗いを使い、また席へ戻る。この一回の訪問で必要な場所を、最初に図面へ印してみます。寝室も、洗濯物を干す場所も、必ずしもその範囲に入れる必要はありません。
ここで「お客さま用の部屋が欲しい」と、すぐ部屋を増やさないこと。普段使うソファで迎えられるなら、まず考えるのは、その席へ至る道順です。逆に、家族がテレビを見ている横で仕事の相談を受けるなら、同じ席では落ち着かないかもしれません。
誰を呼びたいかと、来客中に家族が何をしているか。この二つを組み合わせると、共有できる場所と分けたい場所が見えてきます。「いつか来るかもしれない人」だけで、毎日使う家の形を決めすぎないようにしたいところです。

閉める場所を、一つ先に決めておく

この黒い空間案では、手前の左側に家族の持ち物を置く場所への扉があり、右奥はソファへつながっています。扉を閉めた状態では、黒い壁の面と、その先の座る場所が目に入ります。

次は、同じ場所の扉を開けた状態です。家族のバッグや上着を置く場所が見えてきます。人を招く前にこの中まで飾り直すのではなく、扉を閉めれば見せる範囲が切り替わる、という考え方です。

大切なのは、扉を閉めても、お客さまがソファへ進む道は塞がらないこと。通り道の正面に収納を置き、そこを通らなければ部屋に入れない配置では、同じようには使えません。
開いた扉が使う床も必要です。普段は開けて使いたいなら、人が通る幅と重ならない位置まで図面に入れます。
また、閉じた扉は中の物を片づけてくれるわけではありません。家族が使う棚や床には、普段の出し入れに必要な余裕を残します。扉の有無だけで、片づけが不要になるという提案ではないのです。

「お手洗いを借りていい?」までを一続きに

玄関からソファまでが整っていても、席を立った後に洗濯物の前を通るなら、気になる場所は残ったままです。来客の道順は、座ったところで終わりません。
考えやすいのは、リビングから短い共用の通路を通ってお手洗いへ行けて、その手前で脱衣室への道が分かれる配置です。お手洗いを使うために、着替える場所や家族の寝室を横切らなくて済むようにします。
ただし、近ければそれでよいとも言えません。ソファに座った人の正面にトイレの扉があると、出入りが気になる人もいます。扉の向きを変える、短い壁を挟んで一度曲がるなど、距離だけでなく見え方も一緒に考えます。これは視線の話で、防音性能が得られるという意味ではありません。
手を洗う場所についても、来客が使える範囲を決めます。来客のためだけに洗面台をもう一つ増やす前に、今の計画で家族の着替えと重ならない使い方ができるかを見てみます。

玄関を二つに分けなくても、できることはある

家族は収納を通って室内へ、お客さまは直接リビングへ。そんな二つの経路を設ける方法があります。大和ハウスやセキスイハイムの公式の間取り提案でも、家族側に靴や外出用品の収納をまとめる構成が紹介されています。
ただ、通り道を増やせば、その分の床や出入口が必要です。欲しいソファを置く場所や、毎日使う収納が狭くなるなら、二つの経路をつくること自体を目的にしないほうがよいでしょう。
もう一つの考え方は、玄関とリビングを結ぶ道は一つのまま、その横に家族の持ち物を置く場所を寄せること。扉の位置や壁の向きで、来客の正面から中が見えにくいようにします。人が通る道を分ける方法と、見える範囲を分ける方法は、同じではありません。
家族が頻繁に出入りし、来客とすれ違うことも避けたいなら、二経路の価値があります。通る道は一緒で構わず、バッグや上着だけ見せたくないなら、一経路と脇の収納から検討できます。困っていることに合う方を選びます。

家族と来客の経路を分ける構成の参考

大和ハウス公式:玄関の動線を2つに分ける

お客さまのために、家族が遠回りしないこと

家族専用の道をつくっても、帰宅のたびに遠回りをするなら、近い方の玄関に靴や荷物が集まるかもしれません。図面に「家族用」と書くだけでは、使い方までは決まりません。
例えば、買い物袋を持って帰った日は、食品を先に置きたい。通勤から戻った日は、バッグと上着を置いてから座りたい。子どもが友人と帰ってくる日は、何人かが同時に靴を脱ぐ。それぞれをたどり、途中で物を置きたくなる場所を探します。
扉の裏に持ち物の置き場をつくるなら、開けてから置くまでに何を動かす必要があるかも具体的にします。バッグを置く棚の前に靴が並ぶ、扉を開くと人が通れない、といった計画では使いにくさが残ります。
来客がいる日にも、家族は帰宅し、入浴し、着替えます。誰かが「今、お客さんがいるから」と待ち続ける計画になっていないか。来客をもてなす場所と同じくらい、その裏で続く普段の暮らしを大切にしたいと思います。

来客時の道順と家族の暮らしを考える参考

セキスイハイム東海:来客動線の考え方

ホテルライクな家は、見せる一景を選ぶ

生活の場所を区切った先には、何を見せたいでしょうか。物が見えないだけでは、家に招く楽しみまで生まれるとは限りません。
今回の案では、黒い壁の向こうに柔らかなソファが見え、奥から昼の光が届く構成にしました。扉を壁と同じ色にそろえ、右奥への開口をはっきり残すことで、迎える場所を読み取りやすくしています。黒い面を増やしただけでなく、通る場所と座る場所の関係を見せるための案です。
照明は器具を目立たせるより、石や天井の面へ柔らかく広げます。見せたい壁の質感は残し、家族の持ち物がある場所を飾り棚のように照らし続けない。黒でも素材が読めること、歩く場所の明るさが確保できることが前提です。
ホテルライクを、いつでも生活の跡がない家と考えると、負担に感じる人もいるでしょう。LIQが京都の注文住宅で大切にしたいのは、生活に必要な機能を残しながら、人を迎えたときの景色まで考えること。見せない場所をつくるのは、そこで毎日を続けるためでもあります。

次の打ち合わせでは、来客の一日を歩いてみる

図面があれば、友人が玄関に立ったところから指でたどってみてください。靴を脱ぐ。座る。手を洗う。お手洗いへ行く。そして玄関へ戻る。その途中で、どの扉の中が気になるかを印します。
続けて、来客中に帰った家族が、荷物を置いて着替える道もたどります。二つの線が重なった場所すべてを悪いとせず、「ここは一緒でいい」「ここだけは分けたい」と選びます。完全に分けるための増床より、一枚の扉の位置を変える案が合う場合もあります。
まだ図面がないなら、今の住まいで来客前に慌てて片づける場所を三つ書くだけでも、打ち合わせの材料になります。部屋の広さだけでは伝わらなかった、見せたくない理由が話せるからです。
人を呼ぶことと、家中を見せることは分けて考えられます。迎える場所は気持ちよく、家族の時間はその奥で普段どおりに。そんなホテルライクな家を、誰を招いてどう過ごしたいかという話から、一緒に考えていきませんか。

見せたい場所と、家族の場所を分ける家づくり

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