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テレビのない壁が、夜だけ映画館になる。

昼は白いラウンジ、夜はわが家の特等席

大画面を、飾らないという贅沢。

映画は大きな画面で観たい。でも、昼間のリビングでは庭の緑や白い石の表情を楽しみたい。この二つを、一枚の壁でかなえる方法があります。使うときだけスクリーンを下ろし、観終わったら天井側へ巻き上げる。画面を収納した時間にも、好きな景色が残るリビングです。
下の昼の設計イメージでは、ソファの正面に大きな石の面を置いています。低く浮かせた収納と、丸みのある白いテーブル。壁に細かな飾りを並べなくても、石の模様と家具の輪郭が目に入ります。映画を観ない休日には、ここで本を開いたり、窓の向こうを眺めたりできる。そんな過ごし方から考えた空間です。
ポイントは、画面を消した場所を何も考えずに空けておかないこと。壁の素材、収納の高さ、窓から届く光まで整えておくと、スクリーンをしまう行為が、部屋のもう一つの表情を引き出します。家に映画館を足すというより、毎日使うリビングに、夜だけ現れる楽しみを仕込む感覚です。

昼の設計イメージ。画面は天井側へ収納し、白い石の壁と庭の緑が正面の景色になります。

白い石の手前に、もう一枚の「壁」を下ろす

この部屋では、映画を石の模様へ直接映す想定にはしていません。石壁の少し手前へ専用スクリーンを下ろし、上映する面を切り替えます。昼に楽しむ石の表情と、夜に映像を受け止める面を、それぞれの役割で選ぶ考え方です。
エプソンのスクリーン案内でも、巻き上げ式は必要なときに出し、使わないときに収納する方式として紹介されています。電動式ならリモコンで上げ下げできる製品もあります。ただし、スクリーンなら何でも組み合わせられるわけではなく、投写方式や機種に合った製品選びが必要です。
天井に細い切れ目だけを見せたい場合は、その奥へケースを納める場所を用意します。画面の幅だけで決めず、巻き取り部分と取付金具、電源、取り外すための余地まで含めて設計することが大切です。天井を仕上げた後で「ここへ隠したい」と考えるより、間取りと一緒に相談した方が、見せたい線を整理できます。
下ろした画面の下端と収納の上端の間にも、余白を残しています。収納の上へ高さのある飾りを置く前に、画面が動く範囲と重ならないかを確かめます。

収納方法と、機種に合うスクリーン選びの参考

エプソン「プロジェクタースクリーン」

画面の大きさは、いつも座る場所から決める

壁いっぱいの大画面。そう聞くと魅力的ですが、まず決めたいのは「どこに座って観るか」です。今回の本文画像は、ソファへ腰を下ろした目線を想定しています。画面の中心が正面に来ること、低いテーブルが視界を邪魔しないこと、両端の席からも観やすいことを、一つの構図として考えています。
図面上で壁の幅だけを測ると、実際の座り方が抜け落ちます。深くもたれる人と、背を起こして観る人では目線の高さも変わります。候補のソファが決まったら、その姿勢を思い浮かべ、画面の上端・下端を壁へ仮に示してみると、大きさへの希望が具体的になります。
プロジェクターからスクリーンまでの距離と、映せる大きさの関係は機種ごとに異なります。エプソンも機種別の投写距離シミュレーターを用意しています。先に天井の取付位置を固定してから機器を選ぶのではなく、座る場所、画面、レンズの位置を行き来して決めていく順番です。
ソファの後ろや横を家族が通るなら、その動線も一緒に描きます。映画の途中に飲み物を取りに行くたび、誰かの目の前を横切る。そんな小さな場面まで考えると、特等席を毎日の暮らしへ無理なく組み込めます。

上映するときは、石を照らす光を休ませる

昼の画像では、天井の縁から柔らかい光を広げ、石壁には上から光を落としています。白い素材の表情を楽しむための照明です。けれど、スクリーンを下ろした後まで、その壁を明るく照らし続ける必要はありません。
下の夜の設計イメージでは、正面の壁を照らす光を消し、窓のシェードを閉じています。天井の横や後方に控えめな光を残すことで、映画へ向かう気分をつくる構成です。大切なのは、昼に美しかった照明を全部そのまま点けることではなく、使う場面に合わせて照らす場所を変えられることです。
エプソンの案内でも、スクリーンへ外の光が当たる場合は、カーテンなどで遮る対処が示されています。窓が大きいリビングでは、開放感を楽しむ時間と、光を抑えて観る時間の両方を考えておきます。布を閉じた姿まで壁とそろえておけば、夜も空間の雰囲気を保ちやすくなります。
実際には、映像の見え方と足元の明るさを、その機器と仕上げで確かめます。正面の照明と周囲の照明を分けて操作できれば、食後の会話から上映へ、必要な光を選んで移れます。

同じ位置から見た夜の設計イメージ。石壁の手前へ画面を下ろし、正面の照明と窓から入る光を抑えています。

しまうのは画面。機器の置き方にも居場所をつくる

スクリーンを巻き上げても、プロジェクター本体が消えるわけではありません。今回の案では白い本体をソファ側の天井へ取り付け、白い天井の中で存在を抑える構成にしています。本文の昼夜の画像では、機器は撮影位置より後ろ側にあります。
毎回機器を運ぶ方法もありますが、映画を観るたびにテーブルの物を動かし、コードをつなぐことが負担になるなら、常設する場所を考える価値があります。機器の色だけでなく、取付金具や配線がどこから見えるかまで、座る位置と部屋の入口から確かめたいところです。
隠したいからといって、本体を密閉した箱へ押し込む計画にはしません。採用機種の放熱条件と点検のしやすさを満たすことが前提です。音についても、画像では収納の中央に布調の面を設けていますが、実際にスピーカーを納めるなら、機器と音を通す素材の組み合わせを検討します。普通の収納扉の裏なら、どんな音響機器でもよいという意味ではありません。
ソニーのホームシアター導入案内では、設置部分の補強や配線用の配管を内部工事の段階で行う流れが紹介されています。仕上がってから線を隠すより、家をつくる途中で通り道を用意する。その段取りが、使いやすさと見た目の両方につながります。

配置と工事の段取りを考える参考

ソニー「ホームシアターをはじめよう」

週末の一本が楽しみになる部屋へ

このリビングが似合うのは、大画面の迫力だけでなく、何も映していない時間の景色も好きになりたい人です。反対に、朝の支度から一日中テレビをつけて過ごす家なら、いつもの使い方も含めて機器の構成を選びます。画面をしまえること自体を、家づくりの正解にする必要はありません。
考えてみたいのは、金曜の夕食のあと、どんな時間を過ごしたいか。シェードを閉じ、照明を切り替え、観たかった一本を始める。その準備が自分たちにとって楽しいかどうかです。片付ける物が多く、毎回家具を動かさないと始められないなら、先に置き場所や動線を見直したいところです。
観たい作品をどう再生するかも、この段階で考えます。配信機能を備えた機種と、別の再生機器をつなぐ構成では、必要な機器や操作が変わります。いつも使う配信サービスへの対応と接続方法を確認し、再生機器が必要なら置き場所と電源を用意しておく。リモコンを探し回らず、座ってから上映まで迷わず進めるかを、使う人の目線で組み立てます。
そして、上映が終わったらスクリーンを巻き上げる。翌朝には白い石の壁に光が戻り、同じソファから庭を眺める。今回の案でつくりたいのは、この一日の変化です。昼の写真と夜の写真を並べると、好きな素材と楽しみたい時間を、一緒に相談しやすくなります。
京都でホテルライクな注文住宅を考えている方は、好きな部屋の写真と「家で過ごしたい夜」をLIQへお聞かせください。機器を置く場所だけでなく、使っていない時間にも好きでいられるリビングを、一緒に考えていきます。

昼も夜も、帰るのが楽しみになるリビングへ。

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