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ホテルライクな水回り。注文住宅のバスルームと玄関の設計術

毎日使う場所だからこそ、上質に設計する

水回りは「暮らしの体験」を決める空間

バスルームや洗面、玄関は一日の始まりと終わりに必ず立ち寄る場所です。住宅を検討するとき、間取りの広さや外観デザインに多くの時間を割く一方、こうした水回りの仕様は打ち合わせの後半になって「標準仕様から選んでください」となりがちです。

しかし、毎日の暮らしの質を左右するのは、まさにこの「日常の核」となる場所です。ホテルに泊まったとき、バスルームや洗面まわりの心地よさに思わず息をついた経験はないでしょうか。あの感覚は、素材・照明・収納・動線の掛け合わせから生まれています。注文住宅では、そのすべてを設計段階から作り込むことができます。

今回は、バスルームを起点に洗面・玄関・キッチンまで、上質な水回りと生活動線を設計するためのポイントを整理します。

ホテルライクなバスルームをつくる、素材選びの原則

ホテルのバスルームに共通しているのは、視覚的なノイズの少なさです。色数を絞り、素材の質感だけで空間をつくる。これがホテルライクな上質感の根本にあります。

床と壁には大判の石系タイルを通し、目地を最小限に抑えます。白〜グレー系のマットな石タイルは清潔感と落ち着きを両立させ、モルタル調やテラゾー調の素材も同系統の雰囲気で扱えます。タイルは60cm角以上の大判を選ぶと、目地ラインが減り空間がすっきり見えます。

浴槽はフリースタンディング(置き型)か、壁に沿った半埋め込みの落ち着いたシルエットを。ユニットバスではなく在来工法の浴室とすることで、天井高・素材・照明の自由度が一気に広がります。シャワーはレインシャワーとハンドシャワーを併設し、浴槽とシャワースペースをガラスのパーティションで分けると、視線が抜けて空間全体が広く感じられます。

水栓金物はマットブラックかブラッシュドゴールドに統一すると、細部まで緊張感が出ます。タオルバーや収納棚も同素材で揃えると、完成度がさらに高まります。

バスルームの照明計画——光が非日常感をつくる

バスルームにおける照明の役割は、明るさを確保することだけではありません。光の向きと色温度が、空間の雰囲気を大きく左右します。

ホテルのバスルームが心地よく感じられる理由のひとつは、天井の全体照明を抑え、壁面やニッチに間接照明を組み合わせていることです。タイルの陰影を引き出す「グレージング照明(壁面を斜めから照らす手法)」を用いると、石素材の質感が際立ちます。

洗面まわりには顔を均一に照らす「ミラーライト」を鏡の上部または両サイドに設置します。メイクや洗顔に必要な演色性の高い照明(Ra90以上推奨)を選ぶと、色の見え方が自然になります。

色温度は2700〜3000Kの電球色が空気感をつくりやすく、使用目的に応じて調光できると理想的です。夜のリラックスタイムと朝の清潔感を、同じ空間でつくり分けることができます。

洗面室と脱衣室を「分ける」設計という選択

日本の住宅では洗面室と脱衣室を兼用する「洗面脱衣室」が一般的ですが、注文住宅では分離する設計が増えています。この選択が、家族の生活の質を静かに引き上げます。

洗面室と脱衣室を独立させると、入浴中でも洗面室を他の家族が使えます。来客が洗面を使う際に脱衣室に入らずに済む、というプライバシーの問題も解消されます。洗面室をパブリックな「顔洗い・身支度」の空間とし、脱衣室をよりプライベートな着替えと洗濯の場に分けることで、それぞれに適した素材・収納を設計できます。

空間に余裕があれば、洗面カウンターをカフェのカウンターのように仕上げる「ランドリールーム」との一体設計も選択肢のひとつです。洗濯機・乾燥機・アイロン台をまとめた家事動線と、上質な洗面空間が同居する設計は、毎日の家事効率と気持ちの余裕を同時に高めます。

玄関は「帰宅のリセット空間」として設計する

玄関は、外の世界と家の内側を橋渡しする場所です。単なる「靴を脱ぐ場所」にとどめず、帰宅した瞬間に気持ちを切り替えられる「リセット空間」として設計することで、家全体の上質感が底上げされます。

素材は床にモルタル仕上げやポーセレンタイルを選び、タタキ(たたき)から廊下へと段差なくフラットにつなぐと、空間が広く感じられます。収納は「見せる収納」と「隠す収納」を両立させ、傘・コート・外出用バッグをすべて収められる容量を確保します。扉付きの収納を壁面に組み込み、正面には何も置かない状態を維持することが、ホテルのロビーのような清潔感を生む基本です。

照明は玄関天井にダウンライトを絞って配置し、カウンター上や壁面に間接照明を添えます。帰宅時に目に入る正面壁は、造作の木製カウンターや抽象的な絵・照明器具そのものをオブジェとして見せる「フォーカルポイント」にすると、瞬時に「ここは特別な空間だ」という感覚を与えられます。

キッチンに「格」を持たせる、仕上げと素材の選び方

キッチンは水回りの中でも最も視線が集まる場所です。リビング・ダイニングと一体になったオープンキッチンが主流になった今、キッチンの仕上げがLDK全体の印象を決めると言っても過言ではありません。

扉材はマットな質感のグラファイト(チャコール・濃いグレー)か、オーク・ウォールナットなどの木目を選ぶと、上質感が出やすくなります。天板(カウンタートップ)はセラミック製の大判スラブやコンクリート調のものを使うと、継ぎ目が少なく清潔感が保ちやすく、また素材感のある仕上がりになります。

収納はすべて扉付きにして「引き算」を徹底します。カウンター上に何も置かない状態が基本姿勢で、小型家電もすべて収納内に。家電収納の扉を開けると電源が使えるスイッチ一体型の設計にすると、使い勝手を損なわずに済みます。

照明はペンダントライトをアイランドカウンターの上に吊るすのが定番ですが、LIQが推奨するのはダウンライトとライン照明(キッチン下部の間接照明)の組み合わせです。ペンダントが強すぎると「キッチン感」が前面に出て、ホテルライクな静けさが崩れることがあります。

見えない配慮が上質感を守る——動線と収納

ホテルが清潔で上質に見える最大の理由は、「生活感が見えない」設計にあります。これを自宅で実現するには、動線と収納の計画が鍵を握ります。

水回りのゾーニングでは、玄関→洗面→バスルームを一直線またはL字でつなぐ「帰宅動線」を意識します。外出から戻ったら、コートや鞄を玄関に収め、洗面で手を洗い、そのままバスルームへと向かえる動線です。この動線が短いほど、帰宅後の行動がスムーズになり、玄関とバスルームの間の廊下に「生活の散らかり」が発生しにくくなります。

収納量は「使う場所の近くに、使う分だけ」が原則です。洗面下にはタオルと洗剤類、玄関には外出用品と上着類、キッチンには食材と調理器具——それぞれが定位置に収まることで、物が外に溢れ出しません。収納扉はすべて同じ素材・色で統一すると、壁のように馴染んでキャビネット感が消えます。

LIQが考える、ホテルライクな水回り設計の本質

ホテルライクな水回りを実現するために、特別に高価な材料が必要なわけではありません。重要なのは「何を引き算するか」という設計の意思決定です。

LIQが水回りの設計で一貫して大切にしているのは、①素材の色数を絞る、②照明は間接・控えめを基本とする、③収納はすべて扉の中に、という3つの原則です。この3点を守るだけで、空間はぐっとミニマルになり、上質感が生まれやすくなります。

バスルームや玄関は毎日使うからこそ、そこで感じる5秒・10秒の体験が積み重なって、住まいへの満足度を形成します。打ち合わせの「余った予算で」ではなく、最初から設計の中心に据えてほしい場所です。

LIQでは、SE構法の構造的な強さを基盤にしながら、内装・水回り・照明計画を一貫したデザインコードのもとで設計しています。京都・宇治エリアでの注文住宅に興味がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

水回りやインテリアの設計について、もう少し詳しく話を聞いてみたいという方はお気軽にご相談ください。

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