安くするためか、広く使うためか。
壁をなくすと、何の支払いが減る?
子ども部屋の壁を後回しにしたら、その分、家づくりの予算を減らせる。そう聞くと、まだ小さな子どものために二つの個室をつくるのは、もったいなく感じるかもしれません。でも、今払わない工事費と、最後まで払わずに済む工事費は違います。
あとで壁をつくるなら、壁の材料と施工に加え、必要に応じて照明や配線、建具、内装にも手を入れます。新築時の減額だけを見て「安くなった」と決める前に、将来どこまで工事をするのかを同じ紙に並べておきたいところです。
LIQは、つなげた部屋を「安く建てるための未完成な二部屋」とは考えません。今、きょうだいが一緒に遊ぶ広い床に価値があるなら、その期間のために選ぶ間取りです。反対に、入居時から寝る時間や過ごし方が違うなら、最初から個室にする方を勧めます。
判断したいのは、壁をつくる時期によって、家族に何が残るか。費用を先に延ばすことには意味があっても、それだけで総額が下がるとは限りません。
二部屋にした図面を、先につくる
将来分ける案では、まず壁がある状態を描きます。それぞれのベッド、机、椅子を引く場所、服の収納を置き、廊下から自分の部屋へ入れるところまで確かめる。その配置が成り立ってから、当面つくらない壁を図面から外す順番です。
例えば、一枚の大きな窓の前に長い机をつくり、部屋の中央へ線を引いただけでは、簡単に分けられるとは言えません。壁が窓や机にぶつかれば、そのまま残せないものが出てきます。窓、入口、照明、空調を、分けた後の各室で使える計画にしておく必要があります。
室内のイメージでは、二つの窓の下に別々の机を置き、その間に余白を残しています。一体の長いカウンターを渡すより、机を動かす選択を残しやすい配置です。ただし、画像に見えない入口や収納まで成立した施工図ではありません。実際には壁の厚み、採光・換気、設備の位置も含めて設計します。
広い一室の見栄えだけで決めず、分けた小さな一室でも、自分で服を取り出し、椅子を引いて座れるか。そこで初めて、将来分ける案を選べます。

「あとで工事するもの」を曖昧にしない
見積もりでは、三つに分けて説明してもらうと比較しやすくなります。今つくるもの、今は準備だけしておくもの、将来の工事へ回すものです。「将来間仕切り対応」という一行だけでは、何が金額に含まれているか分かりません。
今つくるものには、それぞれの出入口や、分割後にも使う窓などがあります。準備だけするものは、将来壁を固定する位置の下地や、設備のための配線・配管の計画など。何を先に施工するかは、壁の仕様と設備の方式によって変わります。すべてを二組買う、という意味ではありません。
将来の欄には、壁と仕上げのほか、必要な電気工事、家具の移動や室内を保護する作業まで、どこまでを見込むか書きます。工事中にその部屋で寝られるか、荷物をどこへ移すかも、家族側の負担として残ります。
LIQは、新築時の減額と将来工事の概算を別々に示し、条件をそろえて考えることを大切にします。将来の概算は、その時期の価格を保証する金額ではありません。値上がりも値下がりも決めつけず、今の条件で何を想定した数字なのかを残します。
同じ「壁をつくる」でも、既存の内装をどこまで補修するかで工事の範囲は変わります。新しい壁だけを仕上げる案と、周囲の壁紙もそろえる案を混ぜて比べないこと。見積もりの高い・安いを判断する前に、完成する状態をそろえます。
自分の入口は、部屋を分ける前から
壁は後からでも、入口を増やす場所まで後回しにすると、廊下や収納の計画にも関わります。きょうだいの部屋を通らなければ自室へ入れない案と、廊下からそれぞれ入れる案では、同じ二部屋でも暮らし方が違います。
一人が早く眠り、もう一人が遅く帰る。友人と話している横を、別の子が着替えに通る。こうした場面を避けたいなら、独立した入口を新築時から用意する案を優先します。つながった部屋に扉が二枚ある期間も、その先の使い方を考えた結果です。
廊下のイメージは、二つの扉を同じ高さと色でそろえた別の空間提案です。扉の数を減らさなくても、壁と近い白にして枠の線を控えめにすれば、ホテルライクな廊下の静けさを目指せます。奥の石の面へ光を当て、視線の先に見せ場を置く考え方です。
室内をすっきり見せるために、子どもが遠慮して通る動線を残したくありません。必要な入口を確保した上で、見た目を整える順番を守ります。

家具で分けるなら、何を分けたい?
背の低い棚で机の領域を分ける方法は、自分の場所を持ちながら一緒に過ごしたい時期には選択肢になります。部屋の使い方がまだ変わりそうなら、固定した壁より動かせる家具を選びたい場合もあるでしょう。
ただ、視線を区切ることと、夜の話し声や照明を分けることは別です。棚の上や横が開いている状態を、閉じた個室と同じものとして勧めることはできません。ゲームの会話をしながら過ごす人と、早く眠りたい人なら、仕切りの見た目だけでは答えになりません。
音への配慮が必要なら、壁だけでなく扉などを含めた仕様を検討します。壁を一枚入れれば無音になる、という約束はしません。どんな音を、どの時間に気にしているのかを共有し、換気の計画と併せて設計者へ伝えることが大切です。
また、背の高い家具を間仕切りとして置くなら、固定方法と置く位置の確認が必要です。動かせることと、固定せず安全に使えることは同じではありません。LIQは、本人たちが求めているのが持ち物の区分なのか、眠れる個室なのかを聞き分けてから、仕切り方を提案します。
ホテルライクでも、子どもの好みは変わる
家全体を白や黒でまとめたい気持ちと、子どもが好きな色を置きたい気持ちは、両立させたいものです。将来の変化を考える部屋で、家具まで全部つくり付けにしてしまうと、壁以外にも動かせないものが増えてしまいます。
LIQなら、家と共通にする部分を扉や床、収納の面などに絞り、机や椅子、寝具には選べる余地を残します。白い背景の部屋で好きな色のカバーを使う。机だけを買い替える。暮らしが変わるたびに、内装全体をやり直さなくてもよい組み合わせを考えます。
間接照明も、一室の中央を横切る大きな仕掛けをつくる前に、壁が入った後を見ます。光の当たる面を各室で成立させ、片方だけで点灯できるようにする。今の一枚の写真としての美しさと、分けた後の使いやすさを一緒に設計したいからです。
見せるための子ども部屋にしないことも、ホテルライクな家の居心地だと考えます。家の雰囲気はそろえながら、自分で選び、自分で片付けるための余地を残します。
広く使う時間に、払う価値があるか
今つなげておけば、いつか好きに変えられる。そんな曖昧な安心より、「今はここで一緒に遊ぶ」「個室が必要になったら、この位置に壁をつくる」と説明できる案を選びたいところです。広い床を使う予定がなければ、壁を先に延ばす理由も弱くなります。
新築時から別々に眠りたいなら、最初から二部屋へ。しばらく一緒に過ごしたくて、分割後の図面も費用の考え方も整理できるなら、当面は一室へ。いつ分けるかは一律の年齢ではなく、本人たちの希望と生活時間の変化で話し合う方がよいと考えます。
子ども部屋の壁を後回しにすることは、必ず安くする方法ではありません。今の広さを使うために、工事の時期を選ぶ方法です。そこを納得して選べれば、後から工事費が必要になることも、突然の予定外ではなくなります。
京都で注文住宅を考えるときは、完成時の間取りだけでなく、子どもが個室を使う頃の図面も並べてみてください。LIQは、その二枚をもとに、残したい広さ、先に備えること、将来に回せることを一緒に整理します。
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