泊まりに来ない日は、誰のための部屋ですか。
親や友人が泊まれる部屋は欲しい。でも、泊まりに来るのは年に数回。そのためだけに一部屋を空けておくのは、少しもったいない。そう感じても、大切な人を迎える場所まで削りたいわけではありません。家づくりでは、この二つの気持ちを一緒に扱いたいと思います。
LIQが勧めたいのは、来客のない日に楽しめる使い方を先に決め、泊まる夜にも無理なく切り替えられる部屋です。普段は庭を眺めて本を読む場所。来客時は、扉を閉めて休める場所。兼用するからこそ、寝床を出した後の通り道と、片づける手間まで具体的にしておきます。
まず、普段ここで何をしたいかを一つ選ぶ
「多目的室」とだけ書かれた部屋は、何でもできそうに見えます。けれど、読書も仕事も運動も収納も詰め込むと、客を迎える前に片づけるものが増えてしまいます。私たちは、まず毎日の楽しみを一つ選ぶことを勧めます。使い方が具体的なら、置く家具と残す床が決まるからです。
たとえば、リビングで家族がテレビを見ている間に、静かに本を読みたい。そんな人なら、小さなソファと脇に置くテーブル、読みたい本が収まる棚で十分かもしれません。机も大型収納も最初から足さず、座った先に庭が見えるようにする。その時間に使いたくなる部屋を、客間の普段の姿にします。
一方、毎日広げる趣味の道具があるなら、来客前にどこまで戻せるかが判断の分かれ目です。作品を乾かしたままにしたい、途中の作業を動かしたくない。その希望が強い場合、同じ部屋を寝室へ切り替える計画は合いません。「兼用できる広さ」と「兼用してよい暮らし」は分けて考えます。
ベッドを出した状態を、先に図面へ描く
普段のソファがきれいに収まっていても、寝床を広げた途端に出入口を塞いでしまえば客間として使いにくくなります。ソファベッドは、座る状態と寝る状態の外寸、切り替えるときに必要な場所が製品ごとに異なります。候補を決めたら、広げた輪郭まで間取りへ落とし込みます。
その上で、人がベッドから降りてドアまで歩く線を残します。寝具を広げる人が立つ場所、収納扉を開ける範囲、小さな荷物を置く場所も重ねます。部屋の帖数だけで収まると判断せず、壁の内側の寸法と家具の実寸を合わせることが大切です。
下の白い部屋では、寝床を手前へ広げ、右側に出入口へ向かう床を残しています。これは配置の考え方を示すものです。同じ形の家具なら必ず収まるという意味ではありません。購入する製品の展開寸法と動作を確かめ、部屋に合わせて選び直します。

移動する家具を、最初から少なくする
泊まるたびに重いテーブルを廊下へ運び、別室から寝具を集める。こうした準備が大きいと、普段の使い方を崩す負担も増えます。LIQは、客を迎える日の段取りを短くするために、ソファの正面へ大きな家具を置かない構成を勧めます。
読書用なら、飲み物と本を置く小さなサイドテーブルを脇へ。来客時に動かすとしても、部屋の隅に置けるものを選びます。家具をどかす先を決めずに「必要なときだけ動かす」で済ませない。廊下を仮置き場にすれば、今度は家族の通り道を狭くしてしまいます。
ソファベッドも、カタログの切り替え写真だけで決めないようにします。実際に準備する人が開閉し、座るときと横になるときの両方を試す。普段は読書が中心なら座りやすさを大切にしながら、泊まる人の体格や好みに合うかも見ます。見た目のよさと扱いやすさを、別々に確かめる選び方です。
床に布団を敷く案もあります。普段の床を広く使える一方で、敷く・畳む動作と、布団をしまう場所が必要です。低い寝床から立ち上がりにくい人を迎えるなら、その負担も見ます。ソファベッドにするか布団にするかは、見栄えだけで決めず、泊まる人と準備する人の両方が扱える方法を選びたいと思います。来客後に寝具を手入れして戻すところまでが、兼用室を日常へ戻す段取りです。
泊まる人の荷物を置く場所は、空けておく
客が到着してから「荷物は床に置いてください」となるのは、寝床だけで部屋を考えていたときです。収納が家族のもので埋まっていれば、泊まる人には使えません。私たちは、部屋の広さを足す前に、来客用に空けておける棚や荷物台を小さくても一か所設けたいと考えます。
寝具は使う場所の近くへまとめ、使う掛け布団や枕を実際に畳んだ大きさで収納を決めます。製品に収納が付いていても、必要な寝具がすべて入るとは限りません。部屋の収納と家具内の収納を二重に期待せず、どちらに何を入れるかを決めておきます。
黒い造作の画像では、寝具の棚と、服を掛ける空間、荷物を置く台を分けています。空いた部分まで日用品で埋めず、泊まる人が使える余裕として残す。扉を閉じたときには壁の線がそろうようにすれば、普段の読書空間でも収納の存在が強く出すぎません。

夜は、家族にも客にも遠慮させない
日中に庭が見えて心地よい部屋でも、夜は別の使い方になります。寝床からトイレまで行く途中に、家族の寝室や着替える場所が見えないか。朝早く起きた客が、家族の寝ている空間を通らずに出られるか。客間だけを独立して整えるのではなく、夜と朝の移動まで間取りで考えます。
扉を閉められることと、音が十分に遮られることは同じではありません。テレビのある壁のすぐ裏へ枕の位置が来るなら、部屋の配置や家具の向きを見直す余地があります。音の感じ方や必要な対策は条件によるため、建具一枚で解決すると決めつけない。宿泊時に家族がどこで過ごすかまで含めた相談が必要です。
照明は、寝床から届くところで消せるようにし、必要に応じて足元を照らせる計画にします。窓には、日中の景色とは別に、休むときの遮光と外からの視線への備えを。昼の写真の開放感だけを理由に、泊まる人が落ち着いて着替えられる条件を省かないようにします。
ホテルライクは、客室の設備を増やすことではない
小さな部屋にホテルの設備を一式並べる必要はありません。LIQが大切にしたいのは、座る場所、光の当たる壁、窓の向こうの景色が一つにつながることです。黒い石の面へ柔らかな光を当て、その前に輪郭の整ったソファを置く。家具の数を増やさなくても、普段から入りたくなる部屋にできます。
読書の光は手元へ、間接照明は壁や天井へ。それぞれの役割を分け、目に入る光源をむやみに増やさない。収納を壁にそろえて生活用品を納め、空いた床をそのまま残す。この余白が、日常の静けさにも、来客時の寝床にも使われます。
兼用室をつくるときほど、造作を増やす場所は絞りたいと思います。収納は必要な量を確保して壁と一体にし、座る家具は将来交換できるようにする。今のソファにぴったりの囲いをつくりすぎると、買い替え時に選べる家具が限られます。好きな時間を続けられることも、ホテルライクな家の上質さの一部です。
専用の客間を選んだほうがよい暮らしもある
長く滞在する家族がいる、頻繁に泊まりに来る、準備する人の負担を減らしたい。こうした場合は、ベッドを出したままにできる専用室のほうが合うことがあります。毎回家具を動かす必要がなく、泊まる人の荷物も置いたままにできる。その価値を、使用日数だけで小さく見積もらないようにします。
反対に、短い滞在がたまにある程度で、普段の読書の時間を大切にしたいなら、兼用室は有力な選択です。ただし、部屋を兼用しても寝具や収納、家具を用意する費用が消えるわけではありません。専用室を持つ案と、兼用する案の面積・家具・準備の手間を並べ、自分たちが引き受けやすいほうを選びます。
京都で注文住宅を考えるとき、客間の有無を決める前に、誰が、どれくらい泊まり、そのほかの日に誰が何を楽しむのかを教えてください。年に数泊のために普段を我慢するのでも、客を迎える希望を諦めるのでもなく、二つの時間が無理なく入る場所を考える。それがLIQの提案したい客間です。
泊まる日も、普段の日も心地よい部屋を。暮らし方から間取りをご相談ください。
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