洗濯は終わったのに、片づけが終わらない。
乾いた服をソファへ置いて、あとで畳もうと思ったまま夜になる。座る場所を空けるために、今度は別の椅子へ移す。洗濯機は仕事を終えているのに、人の仕事だけが残っている。そんな日を減らすなら、洗う場所の便利さだけでは足りません。
LIQは、洗濯を「服が乾くまで」で区切らず、明日着る場所へ戻るまでを家の中でつなげたいと考えています。立派なランドリールームが必須という話ではありません。乾いた服の行き先を近くに用意して、くつろぐ場所を途中の荷物置き場にしない。そのための間取りと家具を考えます。
最初に決めるのは、乾いた服の行き先
洗面室の隣に室内干しの場所がある。それだけでも濡れた洗濯物を運ぶ距離は短くできます。でも、乾いたあとに家族全員の部屋を回って収納するなら、後半の仕事は残ったままです。私たちは、洗濯機から物干しまでの線と、物干しから収納までの線を、別々に見ます。
例えば、シャツはハンガーのまま近くの収納へ。タオルは使う洗面室の引き出しへ。個室で着替える家族の服は、その人の持ち帰り用かごへ。これは一例ですが、行き先が決まると「いったん全部リビングへ運ぶ」という工程を外せるか、具体的に話せます。
ここで優先したいのは、家族の服を一か所へ集めることではなく、よく繰り返す作業を短くすることです。朝に着替える場所まで遠くなるなら、洗濯側だけの便利さで決めません。片づける人と着る人、両方の一日を重ねて選びます。
畳まなくてよい服まで、畳まない
干すときはハンガー、乾いたら外して畳み、着る前にはまた広げる。掛けて保管できる服なら、乾いてからそのまま収納へ移す方法があります。毎日のシャツをどこまで掛ける収納にするか。収納の見栄えより先に、減らせる動作を選びたいところです。
もちろん、すべての服を掛ければよいわけではありません。衣類には、つり干しや平干し、乾燥機の使用可否などの取扱表示があります。干し方は表示に従い、保管方法も素材や形に合わせます。畳んで収めたい服や小物のための引き出しは、無理に減らしません。
掛ける服を増やせば、その分だけ収納側の幅も必要です。今の服が入るかを確かめず「畳まない暮らし」に合わせると、入り切らない服が別の場所へ出てしまいます。よく洗う服を一回分並べ、どれを掛けたまま戻せるかから決めるほうが、暮らしに合う計画になります。
収納の中まで、写真のように同じ色の服でそろえる必要はありません。仕事着も子どもの体操服も、普段どおりに戻せることが先です。扉を閉じたときに壁面が落ち着いて見えるようにすれば、服の色や形を制限せず、部屋の印象を整えられます。
作業台は、広さより下の収納までセットに
服を畳むための長いカウンターに憧れることもあります。ただ、畳んだあとに運ぶ先が遠ければ、広い台が新しい仮置き場になるかもしれません。私たちは、天板の下に何を収めるかまで一緒に決めてから、作業台の大きさを選びます。
下のイメージでは、白い作業台の下に引き出しとかごの区画を設けています。畳んだタオルをすぐ収める場所と、家族ごとに分ける場所を近づける考え方です。左の短いパイプは乾いたシャツの一時掛けにも使えます。広い天板全体を衣類で埋めず、手を動かす面を残します。
立って畳むのが楽な人も、座って作業したい人もいます。普段の姿勢で使える高さ、かごを引き出して持ち上げる動き、服を広げる奥行きを試します。収納を増やすために足元や作業面を使い切らず、使う人の動作が収まっていることを優先します。

家族へ渡す場所があれば、一人で配り歩かなくていい
各自の部屋へ服をしまう暮らしなら、全員分を洗濯した人が配り終えるところまで、一人の仕事にしなくてもよいはずです。共用の場所に一人ずつのかごを置き、乾いた服を分けたら、それぞれが自室へ持っていく。家族で続けられるなら、そんな分担も間取りに組み込めます。
大切なのは、かごを置けば自然に片づくと思わないことです。誰がいつ持っていくかを決めないままでは、かごの中に服がたまるだけかもしれません。通る場所から取りやすく、持ち帰ったかごを戻せる位置にする。収納の仕組みと家族の約束は、両方が必要です。
自分でしまうことがまだ難しい子どもには、届く高さに日常着を置く案もあります。反対に、個室で服を選ぶ時間を大切にしたい家族には、その使い方を残します。家族全員に同じ片づけ方を求めるより、毎日の服と各自で管理する服を分けるほうが、無理の少ない場合があります。
下着など、家族であっても見せたくない物は別の引き出しや中身の見えないかごへ。共用収納の便利さを理由に、全部を一列に並べる必要はありません。家族が成長して収納場所を変えたくなったときも、かごや棚の割り当てを見直せるようにしておきます。
干す場所と、乾いた服をしまう場所は分けて考える
運ぶ距離を短くしたくても、濡れた服を乾かす場所と、乾いた服を保管する場所を同じ閉じた収納に詰め込む案は勧めません。乾燥の途中と片づけの終わりは別です。近くにつくりながらも、それぞれの役割を分け、十分に乾いたことを確かめてから収納へ移します。
部屋干しなら、衣類同士の間隔や風の当たり方、湿気をどう処理するかも必要です。乾燥機や除湿機を使う場合は、採用する機器の設置条件に合わせます。機器によって換気や扉の開閉の扱いが違うため、「狭い部屋を閉めれば乾く」と一律には考えません。
機器を美しく隠すための扉や棚も、放熱や吸排気、点検の妨げにならないことが前提です。服を干した状態で通れるか、長い服が台に触れないか、物干しへ無理なく届くかも、普段の洗濯量で見ます。写真のような整った状態だけで、毎日の使いやすさを判断しないようにします。
週末にまとめて洗うなら、先に干した服が残ったまま、次の洗濯が終わる場面も想定します。そのとき通路に物干しを増やす計画では、行き来が窮屈になります。いつもの量と、洗濯が重なる日の置き方を分けて描くと、必要な余裕が見えてきます。
ホテルライクなリビングを、家事の途中に使わない
ソファから服を見えなくするために、毎回大急ぎで片づける。それでは、くつろぐ前にひと仕事が必要です。LIQが目指すホテルライクは、暮らしの作業をなくしたふりをすることではありません。作業が進む場所を用意して、休む場所まで広がりにくくすることです。
次のイメージは、石の壁の脇に家事スペースへの入口を設けた例です。リビングからは整った壁面と造作収納を見せ、奥の作業台へ短く移動できる関係を描いています。入口から何が見えるかは、ソファに座った目線でも確認します。二つの画像は、別々の設計イメージです。
ただし、入口を隠すためだけに遠回りを増やしたくはありません。家事室の面積を取ることで、残したかった窓辺の席がなくなるなら、その配分も見直します。大きな専用室がなくても、干す場所の近くに作業台と日常着の収納をまとめ、扉で見え方を整える案から考えられます。

一回分の洗濯物で、最後までたどってみる
打ち合わせには、普段の一回分の洗濯物が分かる写真を持ってきてください。家族の人数だけでなく、シャツが多いのか、タオルが多いのか、乾燥機へ入れない服がどれくらいあるのか。その違いが、必要な物干しと収納、作業台を具体的にしてくれます。
図面の上では、洗う、乾かす、掛ける、畳む、しまうところまで順にたどります。その途中で、ソファやダイニングへ運ぶ服があるなら、何のためにそこへ置くのかを見直す。作業できる面がないのか、収納が遠いのか、家族へ渡す場所がないのか。理由によって直す場所は変わります。
京都でホテルライクな注文住宅をつくるなら、片づけを頑張った日だけ美しい家にしたくありません。家事の終わりが見え、座りたいときにそのままソファへ座れる。そんな日常に近づくよう、洗濯の最後のひと手間まで含めて、一緒に間取りを考えます。
いつもの洗濯と片づけ方から、暮らしに合う家事動線を。
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