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キッチンは開放的に。洗い物は、見せたくない。

洗い物を見せたくない。それでも、開放的なキッチンは選べます。

食後は家族と座りたいのに、ソファから見える洗い物が気になって、またキッチンへ戻ってしまう。
新しい家では、そんな時間を少し減らしたい。でも、手元を隠す壁をつくると、憧れていた開放的なキッチンから遠ざかる気もする。その迷いは、「全部見せるか、部屋ごと閉じるか」の二択にしなくても大丈夫です。

比べたいのは、ダイニング側まで一枚の天板が続く形と、作業台の前に低い壁を立てる形。今回は同じ黒いキッチンの比較から、片づけ途中でも落ち着いて過ごせる境目を探します。

憧れの写真で、好きだったのはどこですか

保存したキッチンの写真を、もう一度見てみてください。好きなのは、大きな石の塊のような姿でしょうか。天板の上を遮るものがないことかもしれません。料理中も家族の顔が見えることや、窓から庭へ視線が抜けることに惹かれた人もいるはずです。

この違いで、残したい部分が変わります。石の面の美しさが好きなら、その素材を手元隠しの壁にも使えます。会話をしたいなら、天井まで仕切らず、顔の高さは開けたままにする案があります。一方、天板の向こうから一緒に盛り付けたいなら、途中に壁がないこと自体が大切な条件です。

「アイランドだから好き」と名前でまとめる前に、写真のどこを残したいかを一つ選ぶ。手元を隠すために、好きだったところまで消してしまうのを避けられます。洗い物を見せたくない気持ちも、家族とつながりたい気持ちも、同じ図面の中で扱ってよい希望です。

フラットな天板は、向こう側からも参加しやすい

比較の一枚目は、ダイニング側に立ち上がりがない案です。天板の水平面がひと続きに見え、シンクの縁まで視線が届きます。石の広がりを眺めたい人には、この見え方そのものに魅力があります。

例えば、休日に二人で料理をして、一人がキッチン側で切り、もう一人がダイニング側で盛り付ける。天板を挟んで皿を受け渡す使い方なら、壁のない部分を残す理由がはっきりします。ただし、手が届く範囲や足元の納まりまで、その使い方に合っていることが前提です。

その反面、手元に置いたものも景色の一部になります。ボウルや水切りかごを使っている間まで、何もない天板にはなりません。フラット型を選ぶなら、今の暮らしで天板に残りやすいものを挙げ、使った後の置き場所も一緒に決めておくとよいでしょう。

「片づけが得意な人だけのキッチン」と決めつける必要はありません。何も置かない姿をずっと保ちたいのか、料理している風景も好きなのか。自分が心地よく感じる範囲を確かめることが先です。

腰壁を足すと、隠れるのは顔ではなく手元

二枚目は、同じ構図でダイニング側の石の面を作業台より高くした案です。このような低い壁を、ここでは腰壁と呼びます。シンクの縁と天板の多くが壁の向こうへ隠れ、水栓の上部は残っています。壁の上の空間は開いたままです。

LIXILやクリナップも、対面しながら作業中の手元を隠す方法として、造作壁を使うレイアウトを紹介しています。開放感が欲しいから手元もすべて見せる、とは限らないのです。ただし、壁があればどの方向からも見えなくなるわけではありません。

この比較で変えたいのは、使う人の作業台の高さではなく、見る側との間にある壁です。包丁を使う面やシンクは使いやすい高さを保ち、その前に視線を遮る部分を設けます。手元を隠すために作業台そのものを高くして、肩や腕が使いにくくならないよう分けて検討します。

二つの画像は、形の違いを比べる設計イメージです。皿を積んだ状態の実測や、特定製品の寸法を示したものではありません。背の高い水栓や道具まで隠したい場合は、別に見え方を確かめる必要があります。

壁の高さは、いつもの席から決める

最初に決めたいのは、誰がどこから見るときに隠れていてほしいかです。ダイニングの椅子に座った位置と、キッチンのすぐ前に立った位置では、見下ろす角度が違います。座って食事をする間はシンクが気にならなくても、近づけば中が見える、という納まりはあり得ます。

そのため、打ち合わせでは「洗い物を全部隠したい」から一歩進めて、「食後、ソファのこの席から見えにくくしたい」と伝えてみてください。平面図へ座る位置を書き込み、横から切った図や、その目線のパースで腰壁との関係を確かめます。立った人の目線だけで完成形を決めないことがポイントです。

隠す対象も具体的にします。シンクの中の食器、天板の上のボウル、立てて乾かすまな板では高さが違います。普段使うものの寸法を控え、ショールームで許可を得て紙板などを当ててみれば、壁を上げたときに何が隠れ、何が残るかを想像しやすくなります。

よく座る席から必要な部分が隠れたら、次は壁の存在感を見ます。高くするほど安心とは限りません。食卓から大きな壁ばかりを眺める形にならないか、庭や家族への視線も合わせて比べます。

隠したあと、皿をどう運ぶかまで試す

腰壁のある案では、完成した料理をダイニングへ運ぶ場面を想像してください。壁越しに毎回持ち上げて渡すのか、キッチンの端から出すのか。鍋や大皿を持つ普段の動きをたどると、自分に合う形かが見えてきます。

向かい側からの盛り付けや受け渡しを大切にしたいなら、すべてを腰壁で囲む以外に、シンク前を隠して配膳する部分を開ける案も検討できます。ただし、途中で高さを切り替えると線や接合部が増えます。見た目だけでなく、水のかかる場所の仕上げや、使える作業面が十分に残るかも設計者と詰めます。

また、壁の上を便利な仮置き台にすると、そこに置いた郵便物や調味料はダイニングから見えます。隠す面を設けても、その上にものが集まれば、目に入る場所が変わるだけです。上には何を置くのか、置かないなら普段の小物をどこへ戻すのかまで決めておきます。

今回の画像はコンロを奥の壁側に置く構成です。シンク前の腰壁の考え方を、そのままコンロまわりへ当てはめるものではありません。加熱機器の近くの壁や仕上げは、採用する機器の設置条件に合わせて別に確認します。

ホテルライクなキッチンは、壁の表側を景色にする

手元を隠す壁は、リビングからいつも見る大きな面にもなります。今回の黒い案では、天板と正面の壁を近い石柄でつなぎ、細かな棚や取っ手を正面へ増やさず、まとまった一つの面として見せています。背面の収納も黒でそろえ、石の柄が見える部分と、静かな扉の面を分けています。

高級感のために、壁へ装飾を足し続ける必要はありません。角の納まり、上端の厚み、床との取り合い、近くの収納との線の関係まで一緒に考えると、後から目隠しを置いた印象を抑えられます。これは素材名だけで決まらず、図面やサンプルを見ながら選ぶ部分です。

照明は、腰壁の輪郭を発光させるより、天井や奥の石の面へ隠した光を広げる案にしています。手前の黒い面と、光を受けた奥の壁に差をつけ、左の庭からは昼の自然光を取り込む。黒い素材を使っても、細部が見えなくなる暗さにはしません。

LIQが考えるホテルライクは、暮らしに必要なものを消すことではなく、見せる面と使う場所を一緒に設計すること。洗い物を一時的に置く場所があることと、美しいリビングの景色は、両立を目指せる条件です。

持っていくのは、理想の写真と片づけ途中の写真

次の打ち合わせには、好きなキッチンの写真に加えて、普段の料理中や食後の天板の写真を一枚用意してみてください。人に見せるために片づけた写真では、いつも困っていることが写りません。ボウルをどこへ置くか、誰が配膳するか、水切りかごを出したままにするかが分かる写真のほうが、選ぶ根拠になります。

そして希望を、短い言葉にして並べます。「家族の顔は見たい」「食後に座る席からシンクは見せたくない」「皿は横から運べる」。この組み合わせなら腰壁の案を比べやすくなります。「天板の向こうから一緒に料理したい」「作業中の道具が見えても気にならない」なら、フラットな案のよさを優先できます。

どちらを選んでも、片づけが一切いらなくなるわけではありません。ただ、家族と過ごす時間のたびに、目に入るものを気にして席を立つ。その負担を減らすために、キッチンの形からできることがあります。

京都でホテルライクな注文住宅を考えるなら、完成写真だけでなく、夕食をつくり、食べ、少し休むまでを一緒に描いてみませんか。LIQでは、好きな景色と普段の使い方をもとに、キッチンとダイニングのつながりを考えます。

参考資料

LIXIL|ティオ・造作壁対面キッチン

参考資料

クリナップ|人とつながるヒント

参考資料

LIXIL|ノクト・手元を隠すセミオープンの施工イメージ

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