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白い外壁を、のっぺり見せない玄関の奥行き

白を残したまま、玄関の影で外観をつくる

パースを見て「何か足りない」と感じたら

白い外壁の家が好きだったはずなのに、完成予想図を見ると少し物足りない。そんなとき、玄関まわりに石を貼ろうか、木の面を増やそうかと考えたくなります。けれども、足りないのは素材の種類ではなく、手前と奥の違いかもしれません。色を足す前に、家の正面を横から眺めてみます。
壁、窓、玄関の扉がほぼ同じ面に並んでいると、正面から見えるのは大きな平面です。そこへ違う柄を貼れば模様は増えますが、面の位置は変わりません。一方、玄関だけが外壁より奥にあると、入口の天井や側面、そこへ落ちる影までが見えてきます。白い面の中に、厚みのある場所が生まれるのです。
もちろん、平らな壁を静かに見せるデザインにも魅力があります。ここで考えたいのは、白い外観を気に入っているのに、もう少し奥行きが欲しいと感じた場合です。素材を増やす方法と、面の前後関係を変える方法。その二つを分けて考えると、好きだった白を諦めずに、家の表情を整える道が見つかります。外壁の色見本を選び直す前に、入口がどこに見えるかへ目を向けてみてください。

白い面を、玄関のところだけ奥へ引く

冒頭の設計イメージでは、白い外壁が大きな一つの面として見えています。その下に、玄関のための四角い空間がくぼんでいます。正面の白、奥の石、木の扉。同じ方向を向いていても、三つが同じ位置に並んでいないことが、この外観を読む手がかりです。
道路から少し斜めに見ると、入口の右側には白い側面が現れ、上には木の天井が見えます。扉だけを外壁にはめた姿と比べて、建物の厚みを感じられる部分です。白い壁に黒い色を塗って影を描いたのではなく、前にある面と奥にある面が、光の当たり方の違いを生んでいます。
このとき、玄関のまわりを別の色で縁取らなくても、くぼみの輪郭は読み取れます。大きな白い面を残したまま、奥の質感に目を向けられるからです。ただし、入口を深くすればするほどよいわけではありません。扉へ向かう距離や暗さも変わります。自分たちが欲しいのは、遠くからも強く見える入口なのか、近づくにつれて現れる入口なのか。その違いに合わせて、白い壁と玄関の関係をつくります。面の数を増やすことより、残した一つの面をどう見せるかが大切です。

近づいたとき、石の横顔が現れる

次の設計イメージでは、白い塗り壁の角を曲がると、石の面が玄関の奥へ続いています。道路に向く白と、入口へ向く石が違う方向を向いているため、近づくにつれて見える素材の割合が変わります。正面の壁に四角い石の模様を貼る方法とは、見え方の順序が違います。
遠くでは白い建物のまとまりを眺め、扉へ近づくと石の目や木の天井が分かる。そのように、距離によって楽しむ場所を変えられます。石を使う面積が大きいかどうかより、普段歩く位置からその表情が見えるかが重要です。誰も立たない方向へ広く貼るより、毎日手を伸ばす扉のそばに質感がある方を好む人もいるでしょう。
ここで見たいのは、白から石へ切り替わる縦の角です。色や柄が変わる場所と、壁の向きが変わる場所が重なっています。素材の境目に理由があるので、別々の仕上げを寄せ集めた印象になりにくい構成です。図版は考え方を示す設計イメージですが、実際に素材を選ぶときも、壁のどこへ貼るのかまで一緒に眺めたいところです。好きな石の見本だけを机に並べると見えてこない、素材の横顔まで含めて選べます。

白い壁の角から、石の面が玄関の奥へ続く設計イメージ。

ホテルライクな白い壁は、一枚の紙ではない

白い外壁とひと口にいっても、平滑な面と、細かい凹凸のある面では光の受け方が違います。日差しが斜めに当たると、小さな起伏に影が生まれます。大きな柄を足さなくても、近くで見たときに表情がある。白を広く残す外観では、その細かな違いが楽しむ場所になります。
アイカ工業はジョリパットの色調について、同じ色番号でもシリーズや仕上げ方により発色が異なる場合があると案内しています。「この白を選んだ」と色番号だけで話を終えると、思い描いた面と違う仕上がりになる可能性があります。候補の塗板見本を、採用する仕上げの条件で見ておくことに意味があります。
玄関を奥へ引いた家なら、同じ白でも、日が当たる正面と、くぼみの側面を分けて眺めます。明るい場所だけを基準にすると、入口側の見え方を見落としやすくなります。だからといって、影をすべて消すために色を替える必要はありません。明るい白と少し落ち着いた白が隣り合うことも、外観の厚みになります。ホテルライクな質感は、色の種類を増やすことだけでなく、一つの素材が光で変わる姿を生かすことでもつくれます。

設計の参考となるメーカーの説明

アイカ工業「ジョリパット:ご使用の際のご注意」

夜は、白い壁より玄関の奥に目を向ける

夕景の設計イメージでは、建物全体を明るく照らさず、玄関の奥の石壁に暖かな光を当てています。昼は白い大きな面が目に入り、暗くなると奥の質感へ目が向く。同じ外観の考え方を、時間帯に合わせて楽しむ一つの方法です。冒頭と同一の施工住宅を撮り比べた写真ではなく、光の使い方を示す別の案として見てください。
照明を考えるときは、光る器具を玄関の飾りにするか、光を受けた壁を見せるかで、景色が変わります。石の凹凸を楽しみたいなら、器具の輪郭より、壁面の明暗に目が向く位置を探します。白い壁を均等に照らす場合とは、帰宅したとき最初に見る場所が違ってきます。
一方、見せ場の光だけで、歩く明るさまで足りるとは限りません。Panasonicの屋外照明には、下向きの配光などでまぶしさを抑えながら足元を照らす工夫が紹介されています。壁の表情と、扉まで歩くための光は、それぞれの役割で考えます。奥へ目を誘う光があっても、段差が見えなければ心地よい玄関にはなりません。帰る人の目の高さと足元を一緒に見ることで、夜の奥行きを暮らしにつなげられます。

玄関の石壁に光を当て、奥行きを見せる夕景の設計イメージ。

設計の参考となるメーカーの説明

Panasonic「HomeArchi エクステリア ガーデンライト」

くぼませる場所には、暮らしの理由もつくる

入口に奥行きを持たせると、その分だけ壁や扉の位置を考え直すことになります。外観を整えるために玄関の内側が使いにくくなったり、扉の前で人がすれ違えなくなったりすれば、本来の目的から離れてしまいます。くぼみは写真のための影だけではなく、人が立ち止まる場所でもあります。
買い物から帰り、荷物を持ったまま鍵を出す。家族が靴を履き終えるのを扉の外で待つ。そのとき自分がどこに立つかを思い浮かべてみてください。扉を開く範囲と人が待つ場所が重なるなら、壁の位置や開く向きを調整する理由が具体的になります。見せたい奥行きと使いたい奥行きを、同じ場所で考えるのです。
また、凹んだ玄関なら雨の問題がすべて解決するわけではありません。風を伴う雨、壁と天井の接点、床からの排水など、実際の敷地と形に応じた検討が必要です。アイカ工業の注意事項でも、外装の塗材だけで下地の防水対策が不要になるわけではないことが示されています。美しく見える輪郭の裏側には、雨から建物を守る納まりがあります。設計イメージの印象と施工の仕様を区別することが、好きな外観を長く使うための前提です。

外壁の柄を選ぶ前に、帰り道から眺めてみる

白い外観が物足りないとき、最初に増やすものを探さなくても構いません。玄関の扉を少し奥に置くと、何が見えるか。石の面を正面から側面へ回すと、近づいたときの景色がどう変わるか。平面の柄だけで考えていた選択肢を、面の前後関係へ広げてみます。
次の打ち合わせでは、正面の完成予想図に加えて、毎日帰ってくる方向からの姿を見せてもらうと、話が具体的になります。白い面が最初に見え、その後に石や木が現れるのか。最初から玄関を強く見せたいのか。どちらが正解ということではなく、自分たちが家に近づく時間を、どう感じたいかを選ぶためです。
LIQが京都の注文住宅で考えるホテルライクは、素材、光、余白、視線を一つの景色として組み立てることです。今回なら、大きな白い面を残すこと、奥に質感を置くこと、昼と夜で目を向ける場所を変えることがつながっています。気に入った白い家の写真があれば、色だけでなく、どこに影が落ちているかも一緒に見てみてください。素材を足す前に見つかる奥行きが、自分たちの家を好きになる理由になるかもしれません。

好きな外観を、帰り道から見える景色として考えてみませんか。

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