床に座る居場所を、住まい全体のデザインにつなげる
畳の広さより先に、そこで過ごす時間を決める
床に座って本を読む、洗濯物を畳む、休日に少し横になる。畳のある場所を望む理由は、家族によって異なります。最初から広さや形を決めるより、誰が、いつ、どんな姿勢で使うのかを挙げると、必要な場所が見えてきます。ソファでの暮らしに、床でくつろぐ選択肢を足すという考え方です。
たとえば、リビングで過ごす家族と会話を続けたいなら、ソファの近くに開いた配置が考えられます。一方、読書のために少し距離を取りたいなら、壁の出入りや家具の向きを使って、視線が正面から重ならない位置を探します。畳を置けば自然に使う場所になるとは限りません。
来客時に布団を敷くことも想定するなら、寝具の大きさ、しまう場所、出入りする経路まで図面に描きます。普段のくつろぎと、ときどき必要な用途を分けて整理すれば、使わない広さを抱えずに済みます。京都の注文住宅でも、LDKの面積配分と合わせて検討することが大切です。畳を増やした結果、いつも通る場所やソファの前が窮屈にならないかも確かめましょう。
フラットと小上がりは、動き方で選ぶ
周囲の床と高さを揃えるフラットな畳コーナーは、リビングの床が続くように見せたいときの選択肢です。畳へ移るたびに段差を越える必要がなく、家具を置かない時間には床面の広がりを感じやすくなります。ただし、仕上がりを揃えるには、畳とフローリングの厚さ、下地の高さを早めに調整する必要があります。
小上がりは、高さの違いによって居場所を区切る方法です。端に腰掛ける使い方や、床下を収納にする計画も考えられます。その一方で、上り下りする動作が増え、天井までの距離も変わります。段差をつけること自体を目的にせず、家族の移動経路や立ち座りに合うかを確かめます。
パナソニックの間取りガイドでも、畳コーナーを段差なく納めるか、段差をつけるかは生活スタイルを踏まえて検討する考え方が示されています。見学先では見た目だけでなく、実際に腰掛け、立ち、畳へ移ってみてください。図面の寸法を一つの正解にするより、今の暮らしと将来の使い方から判断したい部分です。
床の高さを検討する際の参考資料
パナソニック「和室・収納室・その他の部屋」ホテルライクに整える、畳とLDKの素材のつなぎ方
畳だけを別の世界観で選ぶと、LDKの中でその一角が浮いて見えることがあります。畳を住まいの床材の一つとして捉え、周囲の木、石、左官の色と質感に関係を持たせます。グレージュの畳と落ち着いた木目、クリーム色の石壁を合わせるなど、明るい構成でも上質さは表現できます。
縁のない畳を選ぶ場合も、ただ縁をなくすだけで完成ではありません。畳の割り付け、周囲の見切り、収納扉の目地、天井の切り替わる位置まで、一緒に整理します。畳の境界だけに太い枠や強い色を加えるより、床の一部として自然に収まる関係を探すと、落ち着いた景色になります。
LIQのホテルライクは、伝統的な意匠を一律に取り除くことではなく、素材・光・余白・視線を一つの空間として考えることです。現代的な畳の居場所も、その考え方に含まれます。装飾を増やして雰囲気をつくるより、畳の織り、石の表情、木の温かさが見える余白を残す。座卓や座椅子が必要なら、畳を決める段階で置いた姿も確認します。

畳と木の床を同じ高さでつなぐ納まりのイメージ。掲載画像はすべてAIによる設計イメージであり、実際の施工事例や特定メーカーの製品写真ではありません。
畳表の素材は、色と触れ心地を実物で比べる
畳表には、い草のほか、和紙を加工したものや樹脂を用いたものなどがあります。同じような色に見えても、触れたときの感覚や織りの表情は製品によって異なります。写真の印象だけで素材を決めず、候補の見本を手に取り、床に置いた状態でも比べてみましょう。
たとえばDAIKENの「健やかおもて」は、機械すき和紙をこより状にして樹脂でコーティングした畳表です。セキスイの「MIGUSA」には、ポリプロピレンや炭酸カルシウムを使った畳表があります。どちらも同じ「畳」という呼び名ですが、素材構成が異なり、お手入れも各製品の案内を確認する必要があります。
素材名だけで優劣をつけるより、素足で触れることを重視するのか、色の選択肢を重視するのか、どんな汚れがつきやすい使い方なのかを整理します。和紙畳や樹脂畳という分類だけで、傷や汚れが一切つかないと考えないことも大切です。候補が絞れたら、品番と仕上げを揃えた見本で検討し、畳の芯材や厚さも含めて採用仕様を確かめます。
畳表の素材構成を確認する参考資料
DAIKEN「健やかおもて」の素材について樹脂を使った畳表の製品例
セキスイ「MIGUSA フロア畳」の材質床に座った目線から、窓と明かりを整える
畳でくつろぐときは、椅子に座ったときより目線が低くなります。立って見れば庭の緑がよく見える窓でも、床に座ると窓台や外の塀が景色を遮ることがあります。設計中は、畳に座った位置からどこが見えるかを、断面図や立体のイメージで確認しておきたいところです。
京都の市街地など、隣家や道路が近い敷地では、大きな窓をつける前に、外からの視線との関係を整理します。内側の小さな庭へ向ける、窓の位置を調整するなど、敷地に合う方法を探します。景色を見せたい場所と、落ち着いて身体を休める場所が自然につながると、畳の居心地も考えやすくなります。
照明も、寝転んだときに光源が直接目に入りすぎないかを確かめます。器具を造作の中に納め、石壁や天井へ柔らかく反射させる明かりは、静かな背景をつくる方法の一つです。読書などに必要な手元の明かりは別に検討し、雰囲気のために床や段差が見えにくくならないようにします。昼の自然光と夜の照明を、両方の姿勢から確認しましょう。
収納は、しまう物と開ける動作をセットで考える
畳コーナーで使う座布団やひざ掛け、読みかけの本。それぞれの戻し先が近くにあると、何も置かない状態へ戻す動作が短くなります。収納は、量を増やすことだけでなく、必要な物を取り出しやすくするために計画します。フラットな床なら、隣接する壁面に扉付き収納を組み込む方法もあります。
小上がりの下を収納にする場合は、開け方の違いが使いやすさを左右します。引出しを使うなら、その手前に引き出すための床面が必要です。上から開ける形式なら、畳の上に家具や寝具を置いた状態で取り出せるかを考えます。奥に入れた物をどう取り出すかまで確認すると、しまったままになりにくい収納になります。
パナソニックの「畳が丘」のように、畳の居場所と収納を組み合わせた製品もあります。既製ユニットと造作のどちらを選ぶ場合でも、収納の内寸、開閉に必要な空間、納められる高さは個別に確認します。ホテルライクな見え方を目指すなら、正面の扉の割り方と周囲の木目を揃え、取っ手を含めて線を整理することも大切です。
畳と収納を組み合わせる製品例
パナソニック「畳が丘」
小上がりの正面に収納を納め、石壁への間接照明を組み合わせた別案のイメージ。高さや収納の仕様は、家族の使い方に合わせて個別に検討します。
手入れと交換まで考えて、納まりを決める
畳は毎日触れる場所だからこそ、完成時の写真と同じくらい、掃除や交換のしやすさを考えておきたい床材です。家具を置くなら、脚の形や動かし方によって畳を傷めないか、採用する製品の注意事項を確認します。キャスター付きの椅子を使う仕事場などは、見た目だけで床材を決めず、用途との相性を確かめます。
DAIKENの「健やかおもて」の日常のお手入れでは、畳の目に沿った優しい掃除機がけや乾拭きが案内されています。濡れた布で強くこすらないことにも注意が必要です。この方法をすべての畳に当てはめず、洗剤、水拭き、掃除道具の扱いは採用した製品の説明書に従います。掃除の方法まで共有しておくと、家族も扱いやすくなります。
また、周囲の造作が畳の取り外しを妨げないか、将来一部を交換できる納まりかも、施工前に相談しておきます。完成後は品番、色、寸法、お手入れ資料を残しておくと、補修や交換の相談に役立ちます。新しいうちの美しさだけでなく、使い続けるための手がかりを整えることも、上質な家づくりの一部です。
採用する製品のお手入れ資料を確認しましょう
DAIKEN「健やかおもて」の日常のお手入れ畳を、家族の暮らしに合うもう一つの居場所へ
畳コーナーは、余った床を埋めるための場所ではありません。ソファとは違う姿勢で休み、家族と同じ空間で別々の時間を過ごす。そのための居場所として、LDKの計画に組み込むことが大切です。広さ、床の高さ、収納、窓、照明を別々に決めず、使う場面を一つずつ重ねて考えます。
相談の前には、畳でしてみたいことを三つほど書き出してみてください。次に、置きたい座卓や寝具の有無、物の量、段差への希望を添えます。好みの写真があれば、色だけでなく、光の入り方や床のつながりのどこに惹かれたのかを言葉にすると、設計者と意図を共有しやすくなります。
LIQは京都の注文住宅で、暮らしやすさを土台にしたホテルライクな住まいを考えます。明るく軽やかな畳の一角も、石と濃い木に囲まれた落ち着いた居場所も、家族の過ごし方に合うことが出発点です。畳を取り入れるか迷っている段階から、住まい全体の間取りと合わせてご相談ください。
畳のある居場所から、LDK全体の間取りまで。京都の家づくりをLIQにご相談ください。
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